afu> 「慈恩塔」 慈恩寺の大雁塔。長安郊外。この寺で三蔵法師は仏典を漢訳した。

この秋,10何年ぶりかで大雁塔を訪れる機会があった(というか,西安で
開かれた会議の宿泊先が塔のすぐ近くのホテルだった)のだが,周囲の風景
は昔とはまったく変ってしまっていた.

コンクリートの広場,真新しい土産物市場の建物,悪趣味な噴水 .....塔
それ自体も夜になるとライトアップされ,広場ではけたたましい音楽つきa
のレーザー光線ショー,... .

もし晩唐の詩人がよみがえってあの光景をみたら,どんな五言絶句を書いた
だろうか?

afu> 「盗作はいけない」、と機械的に排除するばかりでなく、こういう作品
afu> も鑑賞するゆとりを持つべきである。ちなみに、「本歌取り」は中国で
afu> は「写作(芸術)」という。

たしかにおっしゃる通りだが,本歌取り(または写作)はあくまでパロディ
の一種なので,それなりの機智(ウィット)が含まれていなければいけない
のではないかと思う.

たとえば,矢作俊彦が久しぶりに発表した長編ハードボイルド「ロング・
グッドバイ」.このタイトルは,レイモンド・チャンドラーの名作「長い
お別れ」のもじりなのだが,あちらは The Long Goodbye なのに対して
こちらは The Wrong Goodbye (間違ったお別れ).L と R を区別でき
ないカタカナ表記英語の欠点をうまく利用して洒落のめしている.

荊叔の詩にはそうしたウィットが足りないように感じられる.

新聞や週刊誌では,ちかごろ,阿部なつみや浜崎あゆみによる他人の作品
からのフレーズの盗用(引き写し)が話題になっているが,どうもあの世
界では,盗作や剽窃に関する倫理感覚が詩の場合にくらべてかなりルーズ
であるような気がする.適当に感情移入してカラオケで唄えるようになっ
ていさえすれば,だれの書いたフレーズだろうとかまわないということな
のだろうか?

週刊文春で指摘された浜崎あゆみの「詞」など,もしあれが「詩」だった
ら明らかに盗作だと非難されて叱るべきだと思うが,....

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        Kiss cedar, Call witch!