てつたろです。

愛人[AI-REN]の第5最終卷が9/29に出ました。

奇しくも「世界が終わる」と言われた1999年
に「ヤングアニマル」誌上で連載が開始して
2002年に終了しています。
4卷(2001年12月発刊)までは順調でしたが、
そこでパッタリ止まって2年強。
作者である田中ユタカ氏のサイトで
「『愛人〔AI-REN〕〈最終巻〉』、出版へ
向けて動き出すことになりました。」
という文を見たのが今年の3月末。
そこから更に半年もの時間がかかりましたが、
やっと、今度こそ、本当に、発刊されました。

昨日、書店で見かけてすぐに購入しました。
しかし、帰宅時の車中で読むのは止めておき
ました。
確実に泣いてしまうだろう自分が想像できた
ので。
自宅でも家族が寝静まるのを待って読み始め
ました。

そして、やはり泣けました。

そして、この記事を書き始めました。
まだ気持ちが熱いので冷静になってから見る
と恥ずかしい内容があるかもしれませんが、
湧き出す熱を逃したかった、いや、人にこの
熱をうつしたかったのかもしれません。

# この最終卷は大幅加筆修正されています。
# あまりすじを書いてしまうのはこれから読む
# 方の障りとなるので、既に雑誌掲載分の話を
# 前提に、それも最低限の内容に留めたいと
# 思います。

主人公達は最初から死の運命を持っています。
もちろん、作り話ですから「奇跡が起きて
生き残る」という話も出来たでしょう。
でも、主人公達は死にます。
(雑誌掲載時と同じように)

しかし、この話は「悲劇」ではありません。
死を間近にした主人公達の生活は、優しさと
暖かさに満ちあふれ、その幸福感に涙が滲み
出してくるのです。
それは決して慟哭や号泣ではありません。
(主人公達の死が悲しく悔しいことに違いは
ないのですが)

青年誌掲載作品ですし、SEXシーンもあります。
(最終卷で初出で、ソフトな描写ですが)
SEXシーンを読んで泣けるというのも滅多に
ない経験でした。

前述のように最終卷は大幅に加筆修正がされて
います。
おそらく、作者は今回の最終稿に至るまで、
何度も書き直しをしたことと思われます。
最終卷全体の何倍もの量の原稿が破棄された
のではないでしょうか。
当初、最終卷がなかなか出ないのは出版社側
のトラブル(原稿紛失等)か、出版社と作者の
トラブルかとも思ったのですが、どうやら作者
本人の藻掻きがあったようです。
(その辺は本人のweb日記にも書かれています)
その結果、雑誌掲載時の内容に一部追加され、
一部がカットされています。
カットされた部分には、雑誌版ラストを形成
する重要なエピソードもあったのですが、
思いっきりカットされています。
その是非については今は判断できません。
(現時点では肯定的に見ていますが、冷静に
なった時に判断が変わるかもしれませんので)
しかし、単行本版のラストが雑誌掲載版のもの
より劣ることは決してありません。

永らく待たされ、そして時には最終巻の発刊
はないかもしれないと諦めた時もありました
が、今はきちんと終わらせてくれたことへの
感謝の気持ちだけで一杯です。

作者の田中ユタカさんへ、
出版社の白泉社の皆様へ、
愛人[AI-REN]の最終巻を、有難うございました。

そして、愛人[AI-REN]の最終巻を待ち続けた
皆様へ。
おめでとうございます。

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