株式会社には「定款」があるのをご存知だろうか?株式会社などの
社団法人は、その組織活動の根本規則を定款という形にして決め、
書面化しなければならない。そうしなければ会社とは認められない
のであります。

日本国を法人と認めないにせよ、それと同様なものが「国の根本の
ありよう」を示す憲法なのであります。定款は数人の発起人によって
作成されます。その意味では簡単なものです。同様に、日本国のあ
りようを示す憲法もその意味では実は簡単なもの。わたくしたちは
必要以上に「憲法」をなにか難しく、とっつきにくいものとはしていな
いだろうか?

会社の発起人そして取締役は定款外のことを視野に入れて行動す
ることはできないと同様、日本国政府は日本国憲法外のことを視野
に入れて行動することはできない。そしてこのことは社団法人等の
場合は、会社「設立の目的」と言う形で明確に定款に規定されるが、
日本国憲法にはそれは無い。何故だろうか?私にもそれが分から
ない。(笑い)    m(_~_)m

恐らく、国家は株式会社等の社団法人などと比べものにならないほ
ど多種多様の「業務」を行うものであるから、「目的」と言う形では明
確化できないし明確にしないほうがベターである、という配慮による
のであろうか?或いは、「法律による行政」と言う形で行動に制約を
加えることのほうが間違いが少ないとしたのであろうか?

さて、ここからが本投稿の主題。あなた方は、以上の疑問をどう思い
ますか?私が、此処でこういう問を皆様に発するのは、皆様方の知
識や理解を「ためす」つもりからなどではさらさらない。皆様方が文
字通り、「どう思うか」が全てだし「それのみにかかっている」と思うが
為の疑問なのです。

私自身は、憲法にも定款同様の「目的」はあると考えます。たしかに
「目的」として明示はしていない。けれども、それは理論的に導かれ
るものであります。すなわち、

        (1)日本国憲法の国民主権主義
        (2)主権者である国民の利益に関する事項
           は基本的人権の尊重しか明記されてい
           ない(主権者である国民の利益に関して
           は此れしか規定されていないということ
           が重要なのです)
        
要するに、憲法の「目的」は基本的人権の尊重(*)、すなわち、究極
にまで「拡大増進」することに他ならない。日本国憲法の内閣や内閣
総理大臣その他の統治機構や組織機関は全てこの「目的」めがけて
設営されまた行動するのみ、こう憲法は考えているのであります。

        (*)「尊重」というと日本人はなにか、ちょっと重きを
          おいて考慮してくれ、みたいな、単なる「気持ち」
          の問題のように考えがちだが、それは実は誤り
          だ。もっと明確に、全知全能を用い可能なだけの
          資金を用い、考えうるだけの<人権の拡大と増
          進>に努めろ、という明確な結論を指示するもの
          なのであります。

          にも拘らず、当の日本国民のほうが勝手に、天
          皇制時代の、「おこぼれ頂戴気分」が抜けきらず
          か、「あつかましがりや」からか、「そんちょう」(そ
          れなら、「村長」の方がましだ!キャハハは!)
                      程度の言葉を冠してしまったに過ぎない。

従って、日本国政府が「国外交渉」をする場合に於いてであっても、彼
等、そして日本国のとり得べき行動は、この「目的」以上でも以下でも
ないのです。彼等には余計なことをする権限はないし、手抜きができる
程偉い立場でも今はない。このことを憲法は「国民主権主義」として謳
っているのであります。

「国益」概念の内容もこのような周辺のことがらの論理的帰結として帰
納的に捉えるのをよしとはしないだろうか。加えて、仮に1000000…
歩譲って、「国益」概念とその内容が基本的人権が目指そうとする
価値=<利益>とは異なるものだとしても、「国」益といった場合には
「公共性」の観念が必ず顔を覗かせる。この「公共性」を比喩を用いず
に語れる人は殆どいない。そうした場合には「個人の利益」と必ず衝突
するのを避けられず、それを回避するためには、「暈した表現」になら
ざるを得ない。表現だけが「暈ける」のであればまだしも、われわれが
政治を監視し、つかんでおこうとする政治的利益状況の「実体」も暈け
てしまい、あいまいにごまかされがちになっては意味をなさないだけで
なく有害でさえある。

かような観点からみても、日本国憲法下で政治を語る場合のいかなる
「国益」概念も、

       基本的人権が目指す価値と<利益>

とするやり方には到底及ばないのであります。


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Golden Cross