青龍です。

"SASAKI Masato" <cal@nn.iij4u.or.jp> wrote in message news:20040416001255cal@nn.iij4u.or.jp...
> > この井上裁判官は、政教分離原則違反という判断の
> >是非について何も述べていないし、
> 
> 主文に対応しない判断をするのは誤りというのが
> 井上裁判官の指摘の骨子です。
> (=何も述べていない訳じゃない。
>   主文に対応しないのであればこの判断に対しては否なんです。)

 ここはちょっと書き方が解りづらかったかもしれません。
 政教分離原則違反の判断の是非というのは、小泉首相の
靖国参拝が政教分離原則に違反するかどうか、ということで
す。
 そこでの判断と関係なく、井上裁判官が主文に対応しない
判断をすべきではないといっているのは理解していますし、
その主張自体は一般論としては賛同できます。
  
> 井上薫裁判官は既にいくつかの著書を出していますし
> 私の記憶に間違いなければ「判決理由の過不足」の中で
> 
> >>「主文に影響しない憲法問題を理由にあえて書くのは『蛇足』というほかない」
> 
> >>上訴できずに「ぬれぎぬ」を晴らすことができない点
> 
> ということの問題点は指摘しているはずです。
> 
> すなわち民事訴訟法プロパーの問題提起が主であって
> 「違憲か否か」についての主張をしたかった訳ではないと読むのが
> 相当だと思います。

 私が指摘しているのもまさにそのことです。
 判決主文に関係のない法的判断(今回の場合は憲法判断)が回避
できるされるべきという主張を受け入れるのであれば、仮に今回の原
告が上訴したとしても、高裁・最高裁は主文と関係のない憲法判断を
避けることになるから、地裁の憲法判断が覆ることにはならない、とい
うのが私の主張です。
 
> 一方「判例の読み方」中野次雄編を読むとこれまたまるわかりのように
> 主文に対応する理由じゃない部分が判例となるかというと
> これは結構微妙なんですね。
> 「論点と関係ない傍論は判例たり得ない」
> ということは言えるにしても。
> そして判例にならなきゃ法的効力なんてないんで……。
  
> そうすると「判決の中に違憲とする部分があった」ことだけを理由に
> それを守れなどというのは
> これは法律的な主張とは言い難いのは間違いないところでしょう。
> ……法律的な主張にしたいなら
>   もっと理論武装が必要。

 念のためにいっておくと、私は今回の地裁の憲法判断が判例になる
とか、それを前提に拘束力を持つという主張はしていませんよ。
 私が主張しているのは、
・仮に上訴されていても、高裁・最高裁で憲法判断がなされる可能性は低いこと。
・仮に憲法判断が上訴審でなされても、違憲とされる可能性が高いこと。
 であって、地裁判決が法的拘束力を持つから、どうこうという主張はしていません。

# ただ、今回の判決は首相の靖国参拝の合憲性について考える
 いいきっかけになるとは思います。いままで、政教分離原則=制度的保障
 という伝統的理解に乗っかって裁判所が憲法判断を避けてきたのをいいこ
 とに、靖国参拝になんの問題もないと強弁してきたわけですから。
  実際、今回の訴訟の後、小泉首相は自らの参拝を私的参拝だと軌道修
 正していますね。
 
> 一方で井上薫裁判官の発言とされる新聞記事を見て
> 違憲合憲を論じていると思うのは
> (そう思うのは普通は仕方ないとはいえ)
> これは井上薫裁判官がかわいそう。

 というわけで、私の書き方が悪かったのかもしれませんが、この部分は
佐々木さんの誤解です。