小泉首相の思想の根幹は日米同盟至上主義であると思われる。「日米安保
条約は日本の平和と安全そして繁栄をもたらした」が彼の口癖であるから
である。

確かに日本はこれまで他国と戦争をせず、他国から攻められもせず、経済
大国として国際社会に認められてきた。こうした戦後日本を建設した主力
は決して日米安保体制なんかではない。
戦後日本の復興と建設における先駆的主人公は、日々刻々汗水を流して勤
労に励む日本国民であった。同時に、雇傭促進・首切りのための合理化反
対・賃金の引き上げ、などを掲げて持続的に闘う日本労働組合総評議会
(総評)や中立労連を中心とした広汎な労働運動は、所得水準の向上と消
費性向の拡大をもたらし、そこに持続的な拡大再生産構造を構築し、日本
経済のレベルを押し上げる一大効果をもたらしたのである。
また、社会党・共産党・総評を中心とする広汎な反戦平和の闘いは、(そ
の指導部において路線上の重大な誤りがあったにせよ)ともすれば日米秘
密合作に走らんとする日本の保守反動勢力を牽制し続けたことが日本の海
外派兵を思い止まらせ、そのことが結果的にベトナム戦争への派兵を阻止
し得た一大要因となった。
戦後日本の平和と繁栄の基本的動因は以上の如しである。

しかしながら日米における支配層らには常々日本の政権が社会党に奪われ
るのではないかという恐怖があった。そのため自民党は、選挙に勝つこと
だけを念頭に置いたなりふり構わぬ年々無理に無理を重ねる赤字(借金)
予算による社会党系議員抹殺のための地方利益の誘導政策を徹底的に押し
広げ、それがものの見事に大成功を博し、労働運動も消滅した。
その跡に残ったのは、莫大な借金、米国への永久的な国土の提供、米国へ
の莫大な資金提供、経済の低迷、治安悪化、そして海外派兵である。
ああ、憐れむべし!  このままでは日本は、米国のネオコン或いは宗教的
右派などからの要求により、米国が仕掛けるあらゆる戦争に自衛隊を参加
させなければならなくなるであろう。そして日本人のなにがしかの貯蓄も
米国の飽くなき国欲のために吸い取られ、無数の無所得層がたむろする無
惨な国家社会に変貌するであろう。
小泉の思想は極上の危険部分を孕んでいる。小泉にいつまでも政権を任せ
てはおけない。