In article <20031207213702cal@nn.iij4u.or.jp>, SASAKI Masato wrote:
>> マイナスイオンを発生させて云々という説明は、技術的・科学的
>>にはほぼ間違いなく嘘なのですが、その前提でこの手の良さっぽい
>>ものを謳うことの、法的な規制というのはあるのでしょうか。
>
>現時点ではないと思います。

 規制は無しですか。むう。

>というのはマイナスイオン関係の商品のCMは
>一方で科学的には証明されない類の効果をうたっているのが多いので
>その部分を技術的・科学的に否定することもできないのであれば
>法的にどうこうという話にならないのも理の当然だと思います。

 では、ちょっと違う方向で。

 例えば、嘘のファクターとして私がイメージしているものは、

  1. マイナスイオンという物質の定義
  2. マイナスイオンの生成
  3. 人体への良さそうな効果

という所です。

 1. は、少なくとも私の知る範囲では、きちんとした合意のあ
る定義がなされていない代物です。なので、 1 だけではまだ否
定とか肯定の対象ですらないので、技術的・科学的に否定とい
うことは無理ですね。

 1 & 2 & 3 の絡みだと、どうでしょう。
 例えば、てきとうに検索して見つけた下記のサイトの記述。

http://www.ecoten.com/mametisiki/mainasuion.html
> 空気中には目に見えない微粒子や分子が漂っていて、これらは
> 電気的にプラスかマイナスの電気を帯びていて、これをイオン
> と呼んでいます。電気的にマイナスになっているものをマイナ
> スイオン、プラスになっているものをプラスイオンと呼びます

 はっきり言って噴飯ものの定義なんですが、こういう自分勝手
な定義をした上でそれを生成させていると主張するのは、この点
では嘘では無いと言えるでしょう。

 が、その上で、次のようなことを言っています。

   マイナスイオン    プラスイオン
血管 拡張される      縮まる 
血圧 正常になる      高くなる
血液 アルカリ性傾向になる 酸性傾向になる 
(以下略)

 ここでの定義による「マイナスイオン」や「プラスイオン」に
よって、こういう作用があることは、少なくとも統計的に有意で
はないという形で否定することは、可能です。
 問題は、そういうデータが無いことなのかな。
 でも逆に、彼らがこういう主張をするのなら、3た論法ではな
いデータが無いといかんと思うのですが。

 ここからは一般論ですが、技術的・科学的という制約がある場
合は、なんらかの作用を主張するときは、そのためのデータを実
験条件とかをちゃんとした形で持って示すものです。例えば人体
への効用では、3た論法のデータは、ちゃんとした形としては認
められません。で、たぶんマイナスイオンの人々にはそれは無い
と推定しています。
 そこで、この推定に基づいて、仮に主張者がまともなデータを
持っていないで主張をしているという状況にあるとき、これは技
術的・科学的に否定されているわけではないのですが、詐欺になっ
たりはしないのでしょうか。

>技術的・科学的に否定できる効能を謳ったものについては
>問題になると思います。
>それは個別の購入者との関係で詐欺の問題が出る他
>(もっともおろかにも売り手がそうだと信じている場合
> 詐欺は難しいですな。)

 未確認情報ですが「マイナスイオンという代物による効果が言
えないのは承知だが、そう書くと売れるから」というメーカの人
の発言もあるそうです。
 けっこう大手のメーカもマイナスイオン製品を出していますか
ら、ちゃんと検証した人はいるでしょうし、否定的な結果しか出
ないことは容易く想像が付きます。

 この発言がガセでなかった場合、詐欺になるんですかねえ。

>公正取引委員会が所管するような法律に基づく規制の対象となりそうです。

 これは、ちょっとピンと来ないのですが、どのような規制なの
でしょうか。

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頼光 mailto:raikou@mug.biglobe.ne.jp
関心・専門分野:
 宗教学、歴史学、社会学、情報工学