奥克彦参事官と井ノ上正盛書記官はORHA(*1)―後にCPA(*2)―に派遣された
外務省職員であり、日本の代表として、経験と知識と能力を生かしイラクの
復興支援作業に日々奔走していた方々です。

民間で言えば、ある大型プロジェクトに複数の企業から各分野のプロが出向
するようなもんでしょうか。もちろん随時外務省に連絡や報告を行っていた
ことは確かでしょうが、基本的には CPAの指揮の下で、各国から派遣された
人々と連携し自らの裁量と判断で職務を遂行していたようです。

彼らがどういう仕事をしていたのかについては外務省の web page に4月か
ら週一回以上のペースで掲載されていた奥氏執筆の「イラク便り」を読んで
ください。復興作業の進み具合やイラクの人々の生活、街の様子などが描か
れていて非常に面白いです。何より奥氏の仕事に対する矜持がよくうかがえ
ます。

「イラク便り」では何回かテロについての記述があり、各国の同僚やイラク
の民衆が犠牲になっていることへの、奥参事官の強い憤りが記されています。
逆に言えば日本人で最も現地の情勢を知り抜いていたと言えるわけで、奥氏
らがテロの被害を受けてしまったのはよっぽどのことだと思われます。

ということで、GONさんの書いた…

Message-ID: <bqev6o$fn1$1@news511.nifty.com>
> 何でわざわざそんな場所に行かせたわけ?
> そもそもそんな場所に行かせた人間が一番責任があるんじゃないのか?
> バカとしか言いようがないね、ホント。
> それともこれって官僚に後ろから鉄砲撃たれたようなもん?
> 気に入らない部下にわざと危険な場所に逝って来いって
> 命令されてしぶしぶ行ったとか。上司の責任問題だね。

…これら全て、誤認による誹謗以外の何物でもないと思う。

# *1:ORHA
# Office of Reconstruction and Humanitarian Assistance の略。
# 復興人道支援局。イラクの復興及び人道支援を担当。
# 後に(6〜7月頃)権限をCPAに移行。
# *2:CPA
# Coalition Provisional Authority の略。連合暫定施政当局。
# 現在のイラク復興支援作業の中核組織。

末筆ながら、今回テロの犠牲になった
奥克彦参事官
井ノ上正盛書記官
ジョルジース・スレイマーン・ズラ運転手
のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。

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中本徹也 (NAKAMOTO Tetsuya) @ HACHIOUJI City, TOKYO.
tetsuzou@pop02.odn.ne.jp