青龍です。

 歴史的事実の認定についての方法論も問題にしているので、
fj.soc.history を追加します。

 やはり、今回の問題については中本さんの主張にはちょっと
問題があるように思います。
 歴史的事実の認定は、その基礎となる資料の検証を通じて
行われるものです。
 しかし、そのここの資料がそれ単体で100%正しいことを証明
することは困難です。書証や証言であれば偽証や記憶違いの
可能性が、写真でも偽造または立証事項との関連性がない可
能性が、死体でも犯人が誰かわからない可能性が必ず存在し
ます。
 逆に言えば、いかなる資料についてもその資料が正しい保証
がないというという批判を投げかけることは可能なわけです。し
かし、この批判を全ての資料に投げかけていたら、歴史的事実
の認定は全く不可能になってしまいます。
 だからこそ、資料の真偽を問題にする際には、単に違う可能
性があるというだけでなく(言い換えれば、その種の資料に一
般的にいえる可能性を問題にするのではなく)、その資料の信
憑性を疑わせる具体的な論拠を提示しなくてはいけないと思い
ます。この点では飯塚さんの主張の方が説得力があるといえま
す。
 今回の証言について言えば、中本さんが指摘する偽証の可
能性は証言一般についていうことのできるものであり、その例
外の根拠(その証言自体に矛盾があるとか、他の資料との矛
盾が生じるなど)がない状態で持ち出したら、歴史に関する議
論が成り立たなくなる類のものといえ、議論の手法としてはタ
ブーに属するものでしょう。特に、この証言以外にも被害者の
証言など証言の信憑性を補強する資料がある場合はなおさら
です。

# この議論の手法が問題であることを如実に示すのが、韓国
 併合時の問題を議論したときに兼松さんが資料を提示した際
 の池田さんの対応です。
  兼松さんが山川出版の教科書の記述を資料として提示した
 ときに池田さんは他の教科書(具体的には扶桑社の教科書)
 を同時に資料として提示しなかったことを理由にその信用性
 を問題にしだしたのです。この際の池田さんの議論の仕方の
 問題は既に指摘してありますのでそちらを参照してください。

"NAKAMOTO Tetsuya" <tetsuzou@pop02.odn.ne.jp> wrote in message news:bq7m2g$6ji$1@nwjp1.odn.ne.jp...
> >  きつい言い方かもしれませんが、証言者を「平和思想にかぶ
> > れた」とか「中国の収容所で洗脳教育された」とか誹謗する中
> > 本さんこそバランスを欠いているように思えます。
> 
> 私は証言者がそうであるとは書いていません。
> 中にはそういう人もいると言っているだけです。

 それなら、今回の証言者の発言の信憑性を問題にすると
きに、このような主張を持ってくる意味はありません。
 また、中本さんの発言だと、今回の証言者は違うが他に
その様な人間がいるように読めますが、具体的にどのよう
な事例について言っているのでしょうか?
 
> 日本軍兵士による犯罪が全くなかったとは私も認識してはいません。

 全くなかったとは思っていないとは、あったけど例外的な事例に
すぎないということでしょうか?
 資料を見る限りでは、かなり頻繁に起こっていたようですが?

> > 自業自得といったのは中本さんがよく考えていなかっただけで、戦
> > 後の教育とは無関係だと思います。
> 
> 当時は「日本人の自業自得」だと教育されていた、ただそれだけの話です。
> 自分でよく考えずに教師の教えをそのまま鵜呑みにしていたお前が悪いと
> 言われれば確かにその通りかもしれません。

 それ以前に、中本さんの先生はソ連兵にひどいこと
をされたことについてまで日本人の自業自得だなんて
教えていたんですか?
 私も世代こそ違え戦後教育を受けていますが、ソ連
軍の暴行まで自業自得だなんて習った覚えは全くあり
ません。