ほくなん: こないだ、悲しいことに気づいてね。
あいかた: あんた、楽しいことないんですか?
ほくなん: ......
あいかた: わかった、わかりましたから、
          憤怒の形相で殺意の波動を送るのはやめて下さいな。
          それで?

ほくなん: 富良野観光してきたんですよ。
あいかた: 実は遍歴を見てみたら意外ともてもての、
          純くんにあやかりたいとか。
ほくなん: そうじゃなくて。
あいかた: ああ、拾ってきた家見て、
          「彼女、落ちてないかなあ」とか。
ほくなん: いや、落ちてないし。
あいかた: 石の家みて、
          「畑の中に、彼女落ちてないかなあ」とか。
ほくなん: そんな、彼女落ちてるとか思ってないから。
あいかた: 「自然から頂戴しろ」って、
          私に自然に彼女ができないのは、
          この文明社会に対する警鐘なのかと。
ほくなん: んなわきゃないから。
あいかた: でもあれでしょ、
          ぶっちゃけ目的は本州方面からの若い女性を狙った、
          悪質な犯行っていう......
ほくなん: って私ゃ犯罪者かい!
          そうじゃなくて。

ほくなん: 確かにメインは北の国からの舞台巡りだったんだけど、
          ついでにやなせたかしさんのアンパンマンショップ[1]を
          見てきたんですよ。
あいかた: そんなの富良野にあるんですか。
ほくなん: 正直、ちょっとその手の顔パンとかあるかなあとか
          思ってたんだけど、まあそれはなくてさ。
          でも 2 階にあるギャラリーには、
          やなせさんの絵とか、まあ本物じゃないけど、
          それでも無料で見られてさ。
          それはそれでいいなあと思って。
あいかた: いい話じゃないんですか。
          それのどこが悲しい話なんですか?
ほくなん: 客層がさ。

ほくなん: まあ子供連れの家族ってのはわかるよ。
          北の国から見て流れてきたカップルなり集団なりも
          わかるさ。
ほくなん: でもさ。
          なんでか知らないけど、若い女の子が多いんだよね。
          一瞬幼稚園の保母さんとかかな、とか思ったけど、
          それだけがそんなにくるわけないし。
あいかた: で、原因を考えてみたと。

ほくなん: それで、小さい頃アンパンマンって見た覚えある?
あいかた: え。小さい頃ですか。んー......
ほくなん: ちょっと調べてみたらさ。
          今年ってアンパンマン生誕 30 周年[2]なんだ。
          絵本初出版が、昭和 48 年、西暦にして 1973 年。
あいかた: へぇへぇへぇへぇへぇへぇへぇへぇ。
ほくなん: ちょっとトリビアでしょ?
          ついでに、アニメ化は 1988 年で、こっち基準で
          考えても 15 周年ね。
          さらに童話としては 1968 年で、実はその時は、
          顔があんパンじゃなくて普通の人間だったそうで。
          むしろそっちの方がトリビア度は高そうだね[3]。
あいかた: へぇへぇへぇへぇへぇへぇへぇへぇへぇへぇ。
ほくなん: それでさ。

ほくなん: この子らはもう、小さい頃からアンパンマンに
          どっぷり浸かってるからじゃないか、というのに
          気づいてしまってさ。
          ほらあれだよ。うちらの世代でドラえもんとか、
          その手のやつが観光ついでにあったらついいって
          しまうみたいなあれさ。

ほくなん: というのに気づいたらさ。
          もうあれさ、この子らと自分の間にはもう、
          越えることのできない壁がある、ということに
          気づいてしまってさ。
          なんか、老いた、っていうか、悲しいっていうか。

あいかた: ......んー。
          気にすることはないんじゃないですか?
ほくなん: どうして?

あいかた: だってあんた、
          同年代の相手にすら、手、出せてないじゃん。
          いわばもう辺り一面壁っていうか、
          絶壁に囲まれてるっていうか。
ほくなん: ......
          いいたいことは、それだけか?
あいかた: !

ほくなん% 母さん、
          あいかたの行方は、
          杳として知れないわけで

[1] http://www.anpanmanshop.co.jp/furano/furano-9.htm
[2] http://www.rakuten.ne.jp/gold/anone/anpanman/
[3] http://www.fukkan.com/group/?no=1763