銃口の意志に似て
銃口というものが、果たしてどこから来ているのか。
地獄からか、それとも、無なる世界からか。
人は有るのであっているのではないというのが
西洋哲学の根本的なとらえ方でしょう。
もし、実存をいうならそれは、「いる」に近いが「いる」ではない。
日本には「いる」があるがこの概念は、世界には通用しない。
銃口は、あるものに向けて開かれているが
「いる」ものにむけては、開かれてはいないののではないか。
いや、むしろ、いるものは死して後も「いる」ものであり
この思想は東洋的と思うのです。
われわれ日本人はいようとして、「いる」ことの出来ないこの世
と、「有る」ことになんら無頓着に、
ただ「い」続ける魂の声を聞いている現実の「狭間」にいる。
有る者がいる者であることのその差異を思い知らされるのは
ただ銃口を前にしたときの
銃口からの叫びのみではないのか
銃口から聞こえてくるお前はいる者であったという証明を
われわれの中の男は、聞いているのかもしれない。
過去形においてのみ、聞いているのかもしれない。
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波のうえに住む男は ひとりぼっちだった
足の裏には いつだって街の灯があり
噴水があり
清流があり
太鼓の音が湧いているのに
踏みしだけ
君の両手に翼が生えてくるまで
街の灯も 噴水も 清流も 太鼓の音も
粉々に 祭りのように踏みしだいてしまえ
雨か そうだったな
ほとばしる苦悶の角は こうして
いつだって雨の中から現れる
見てみろ
濡れた角こそが 黄金の翼なのだ
だから、飛べ
濡れた黄金の翼で飛べ
浮上する石の上に耳をあてるために
聞こえるか
そこには、浮上する石の上には
いつだって、救世主の声紋が刻まれている
死ぬからには
せめて
石の声紋を聞いてゆけよ
そうか、君には翼がないのか
ならば、額にこの銃口をあててみろ
聞こえるか 救世主の声紋が聞こえるか
冷たいしずくが
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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