飯塚(東京都)です。

"片倉@OMA同盟参上" <katak@vesta.dti.ne.jp> wrote in message
news:3EE359EB.1040201@vesta.dti.ne.jp...
> まぁ、選手も当然、そのことに気づいていると思うんですが、
> 後半は、ラインをフラットにしながら上げていって、
> タイミングを見て(大体ラインが相手の先頭と接触したくらい)、
> 1人が下がって、裏を見る、といった守備をしていたように思います。

 今回のアルゼンチン戦の注目点は「ディフェンス」でした。
 片倉さん最終ラインにしか言及していませんが、それだとほとんど何も
語ってないのと同じだと思います。
 というのもラインとボランチの関係がそこになければ、ラインはラインの
動きで守備をして、ボランチはボランチの動きで守備をすることになって
しまうからです。
 で、今回ここのギャップが起きた、というのが都並氏の言葉でした。
#ですよね?
 要するにボランチが前に出ているのに、ラインが上がらずそのスペー
スを使われてシュートを撃たれて失点している。

 この点を選手の言葉から確認すると、

中田ヒデ「ボールの取りどころも定まらなかった」

 と、プレスの意思疎通に問題が出てることになります。
 しかも、ここが一番問題なんですが、その練習をそもそもやっていないので
意思疎通が後退していることです。試合の中で成熟していない。

中田浩「11月の試合では組織で守っていたが、今日は個人勝負になってしま
ったのが敗因だと思う。こんなに通用しないんだということがよく分かった」

 11月はトルシエの遺産で守備をしていたが、それが消えつつあり、守備
が混乱していることがわかります。
 自分に自身を持っていた稲本ですら、

稲本「レベルの差を感じたし、すぐに埋まるというものではない。教訓にしたい」

 と言っていますから、いかにやられたかがわかります。もちろん個人だけでも
組織だけでも現代サッカーはダメで、双方の高度な融合があってこそ強いチー
ムになるし、アルゼンチンも組織あっての強さでした。個人の能力に組織を取
り込みつつあるアルゼンチンと、組織の力に個人の能力をプラスしつつある日
本では、目指すところは一緒でも課程が違うので、簡単にはレベルの差で片付
きません。
 しかし今回の稲本の言葉は、その課程を無視して必要以上に「世界との壁」
を意識させる結果をもたらした可能性があります。その点が気がかりです。

 この日本が築いてきた強さを失いつつある点は、アルゼンチンから見ても
同じで
ビエルサ監督「昨年の試合の日本の方が強かった」

 と言及しています。
 つまりプレスサッカーをしていないので、昔ながらのマンマーク守備に近く
なり、結果個人プレーでちぎられたのが今回の結果となります。

 さてギャップが見えているのは、プレスのタイミングだけではありません。
 意思疎通の問題での中田を中心とする攻撃陣と守備陣との考え方の違い
が出ています。
 中田ヒデや中田浩などは、前述の通りプレス全体に問題を感じていますが、
対して

秋田「自分たちのボール支配率をもっと上げるようにしないと守備のライン
も上げられない」

 と、秋田はキープ率を問題視しています。要するに攻撃でボールが収まら
ないから、ラインも上げられないんだというわけです。
 試合後のプレスルームで引き合いに出された
ジーコ監督「今、思えばあの最初のプレーがすべてを象徴していた」
 という、キックオフ直後の中田ヒデの秋田へのバックパスが、大きくズレた
ケースのように亀裂は試合中にも出ています。
 再三ディフェンスラインのアップを指示する中田に対しても、試合後に
秋田「「考え方が違うからね」
 と語るなど、雰囲気的にあまりいい状態を感じさせません。

 また練習場面でも、

GK川口「このチームは練習中に笑ってるヤツが多すぎる」

 という形で、ジーコの優しさが緊張感のなさにつながってきているようです。
 この試合に出ていない川口の言葉が外に出てきている点も含めて、攻撃
陣と守備陣。先発と控えに「意識のギャップ」が生まれ始めていると思います。

 単純に「選手達で気づいていかなければならない」限界を超ようとしている
ようですし、
「試合を重ねれば良くなる」というのは、楽観的過ぎる、というのが私の感
想です。

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 東京都 飯塚顕充
 iizuka@comp.metro-u.ac.jp