贈る言葉シリーズその1
北條ともうします
失業し、電算機系の会社を回ってみたのですが、縁無く、
とうとう、失業給付も終わりとなってしまいました。
今後の身の振り方は、未だ決めていないのですが、電算機
の世界からは離れることになりそうです。
そこで、20年以上電算機にかかわってきた人間として、これ
から経験を積もうという方々に、いくつか言葉を贈らせて頂こ
うと考えました。経験を積まれた方には、釈迦に説法かもし
れませんが、笑っていただければ幸いです。
今回は、その1として、システム管理者編
1)壊れてないなら、直すな
情報工学の第一原則としても有名な言葉ですが、システム管
理者には特別な意味があります。ご存知のように、システム管理
者は、常に暇そうにしていると思われています。実際には、環
境構築、バックアップ、ハード・ソフトの改修等と忙しいにもかかわ
らず、些細な問題や、マニュアルに書いてあることの問い合わせ
が後を絶ちません。
まあ、そこで、ぶつぶつ言っている内は良いのですが、ついつい
ユーザー教育や、情報のマニュアル化、管理ツールの整備、と言っ
た無駄なこと(効果があったという管理者がいたら教えてください)
を始めた挙句、さまざまなシステム改造に手を出してしまいがちで
す。
残念ながら、このような末期症状では、システム管理者は、思わ
ず「マシンが恋人」とか「基板は友達」とかつぶやくようになってしま
います。それもまた人生ですので、良いのかもしれませんが、ふと
人生を振り返ってみて、「一度で良いから人間の恋人が欲しい」とか、
「家庭を持ちたい」とか思ったとき、自分の仕事の基準として、上記
の言葉を思い出してください。
2)メモリの1バイトは、血の一滴
太古の昔から、システムが不調になる原因の多くは、メモリに関係
しています。仮想メモリが実装されたからといって安心してはいけま
せん。より多くの実メモリを確保するための技術は、多くのプログラマ
に知られており、気まぐれな改造プログラムの実行で、メモリ不足か
らシステムの再起動といった処置がとられる事は後を絶ちません。
システム管理を始めたころは、スワップスペースを自在に操ったり、
オラクルを動かしつつ、ユーザープロセスにメモリ制限をかけたりす
る事で満足しがちですが、実際の運用で直面する事態は、さらに複
雑です。少しのメモリの確保の為、MBUFを変えるのに adb -k を
ためらい無くできるように(メモリが足りないときに、Webminとかが
使えると思わないように)普段の修行が大事です。
残念ながら、そこまでシステムの運用に気を使っても、より巨大な
プロセスの実行への要求は後をたちません。無理を言われたとき、
魂の叫びとして、上記の言葉をお使いください。
3)誰も信じるな
システム管理者は孤独です。普段から、「何もしてないのに、壊れた」
(実際は、ウイルスを実行した)とか、「メールがエラーになる」(あて先
に住所氏名を入れた)とかといったユーザーの相手をさせられること
になっていますから、人間不信になるのもやむをえないのですが、
人間として、どこかに、誰かを信じたいという気持ちが残っている場合
が多く見られます。残念ながら、システム管理者の道を歩み始めた以
上、単に、周りのユーザーを信用しないだけでは不十分です。
例えば、Googleで何か検索したとしましょう、残念ながら、現在の
インターネットに流れている情報を考えると、あなたが検索した情報の
半分以上は、古すぎるが、単なる希望か、冗談のネタであり、役に立
たないことになります。
メーカーに電話して答えが返されたとしても、安心してはいけません。
多くの場合、一次対応の娘さんは真剣にあなたの問題を心配してくれ
ていますが、その後ろにいる技術者は、たとえうまく行かなくとも、肩を
すくめるだけです。
どうか、システム管理者であるあなたを助けられるのは、あなただけ
であることを深く認識してください。インターネット、特にfj.jokes に流れ
た話を信じてリストラにあっても、あなたの責任だということを忘れない
ように。
# 言いたいことは山ほどあるけど、この辺で
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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