ダブルスタンダ−ド、直訳すれば二重基準となるが、外交の上でのスタンダ−ドは幾通りも存在する。
 日本人程或いは日本程理解し易い国は無い。多分北朝鮮の次に判り易い国だろう。
 北朝鮮は物資、食糧不足で形振り構わないが、穏便な対応をすれば図に乗る。
 日本は強きに従い、弱きをくじく。 (本心は異なっても、その様に受け取られている傾向を散見する)
 
 民族の歴史として、抑圧占領を繰り返してきた西欧と、一方的に蹂躙されてきたAA諸国の歴史、感情とは異なるものを日本人は持っている。
 事の良否は別として、その事が外交に限らず、個人レベルでの交際に於いても本音と建前の違い、駄目元で言っていると感じる事はよくある。
 私は自然科学分野での学歴を持つが、私の恩師の恩師が言われた名言の中にこの様な発言がある。「私はクリスチャンだから、進化論、天動説は信じない。それが神の教えである限り常に真実である。但し今は諸君に教える立場にあるので、現在この世で真実とされている事を正として教鞭をとる」。即ち思想信条とは異なる事も時として正しい事となると言われた。
 万人が認める世の常識と懸け離れた常識も、その世界では正論であるとの事で、視点を変えて常に物事を観察する事が肝要と言われた。
 
 交渉、外交の上で今天動説に立って話しても意味が無いとも思われるが、外交とは相手が天動説の立場で交渉に臨んだり、進化論を否定する事はしばしばある。
 時の政府が国益に適うと判断して決定した事が、如何に陳腐な事であろうと先ず肯定する事から始めないと、理解出来ない事は数多くある。外交に限らず、相手の立場を理解する事は大事だが、立場を理解する事が即ち太陽が地球を回っていると認める事ではない。
 太陽が地球の周りを回っていたら、貴方は正しいと言ったに過ぎない。認識のずれはその時点から始まる。
 その意味では、日本は仮想敵国が明確で、同盟国も明確で、相手から見れば組みやすい国だ。何しろ靖国問題で外交交渉を中断出来るのだから。 本来ならば外交としては中国韓国が誤っているのだが、抗議すらしていない。 通常ならば禁輸処置と外交途絶をして、0から国交交渉を始めるべき重大な内政干渉だ。
 二重外交と非難されるとしたら、徹底した対応が出来ない政府に問題がある。常に解決を先送りして来た事なかれ主義の外交政策が今日を招いていると思う。