たかだか数十年の銀杏の木の下を
歴史の乏しい人類が
取るに足りない煩悩と歩いている

傘の形をした蝙蝠が
アスファルトすれすれに
飛び去った

雨の降る夕暮れには
地獄の門番のような顔だけが
ゆっくりと こんにゃくのように通り過ぎていく

夢か
希望か
殺戮のない世代には そんなものは歩いてはいない

突き刺された魂
その抜け殻を
いくつもいくつも
その歯で食いちぎって生き抜いてきた者にしか
夢も希望もあらわれはしないものだ

俺の希望は
蝙蝠よりも低くとんでいたはずだが・・・