社会保険庁が使用していた機種は知らないが、省庁の中で最初にコンピュ−タ−を導入した省の担当高官の回想を紹介します。
 当時は数値演算プロセッサ−と呼ばれ、開発にはNEC、日立、早川電気等があたったそうで、各メ−カ−に命題を与えて開発したそうです。 当然使用目的は統計処理と一定条件該当数値などの検索が最初だった様子です。
 言語は16進数マシン語から現在のC言語に近いものを使用した様で、CPUは68系が日立、80系がNECですが、自社開発のものです。 Fortoranは不確定要素の解析、Coboruは会計へとの使い分けが、ほぼ確定し始めた頃より前だったそうです。
 その技術はJRの自動券売機や衛星の軌道計算に継承されています。 CPU能力や言語は、インテルの製品やマイクロソフトの物よりは飛躍的に優れていた様子ですが、汎用商品としては世界規格になっていたマイクロソフトや、インテルの基準にに合わせた物でなければ輸出が出来ない状況でしたので、能力を押さえた製品が良く売れると言う珍現象が起きて、現在に至っているそうです。

 さて、年金照合作業が確実に行えるか否かは、信じるか信じないか、との問いかけに等しいと思います。
 驚かれると思いますが、one step と言う言葉が有ります。彼等はアルファベット一文字をワンステップとして数え、少なくとも日本語の一文字で計算していませんでした。(この部分は公表された文字のカウントは違う筈です) 。 従って実際には原稿用紙一枚の作業も行っていないと思います。 しかも外注(アルバイト)委託は直接発注では無く、業者を幾つか介しての公務員主婦又は縁故者が行っており、実際には発注額の1/5程度が一文字単価として支払われました。
 現在でこそ、電子文書の信頼性は評価されていますが、当時はDATAが化けたり、消えてしまう事や、ヒュ−マンエラ−は日常の事でしたが、機械だから仕方が無いで済ませた様子です。
 幸か不幸か、それほど信頼されていなかった事からか、総ての資料はマイクロフィルムで原則永久保存とされています。(永久の定義は知りませんが・・) 従って現在の電算機の能力と画像解析能力から言えば、厚生年金に関しては照合時間よりも輸送時間の方が問題になるかも知れませんが、完璧に数ヶ月以内に完了すると思います。 (多分日立を使うでしょうから)
 国民年金に関しては、年金税と言われていた事からも想像出来るかと思いますが、地方公共団体の考え方に依存する部分もあり、戸籍謄本、改正原戸籍と同様に永久保存を行っている市町村居住者は確実に正確な記載が行われると思いますが、ファイルで山積みしていた様な所では、問題が噴出するでしょう。 まさに住んで居た所の運不運で決まるでしょう。 この部分が多分幾らかは残るのではないかと思っています。(NTTDATA担当と思います。電話の未納や電話が無かったりすると検索情報が少なくなり、足で稼ぐ事になりそうです)

 何も対応しないよりも、完璧に出来ない部分が残っても、直ぐに行動する方法を選ぶか、非難して悪者を決めて考える方法を選ぶかは自由でしょうが、現在の技術水準では当時の数万倍(乗数倍となるので)の能力に期待して待つしかないでしょうか?
 むしろ、この事を理由に国民総番号制となり、常にIDカ−ドを持ち歩く事を義務つけられる方を警戒しています。