足の腱鞘炎が直らないのであまたの文人に酷評されている夏目漱石の『こころ』
を読んでみました。私は読み易いうえに面白いと思いました。ただ致命的な記述
が多数見られ自らの命と引き換えに書いた作品だと思いました。そんなところが
文人に酷評される原因でしょう。作家は自らの安全を確保した上で大衆に向けて
文章を書くもので高踏派と見做されていた漱石もそのような作家の一人と思って
いたので意外でした。

それから学生の頃本郷に住んでいたので作品の舞台に思いを馳せることができた
のは幸いでした。

「致命人の血は奉教人の種なり」という言葉があるので後世に残す作品にするこ
とを希望します。

大城貴紀