柏崎@北海道です.

「元カレ」は見てないんですけど,恋愛寫眞がらみで.

At Mon, 14 Jul 2003 19:18:48 +0000 (UTC),
OTA Takashi wrote:


> '95年〜'98年ごろの広末さんは高く評価してたのですが,それ以降自分の
> 中で下がっていた評価が,ここのところ盛り返してきた感じです.昨日は
> 映画の『恋愛寫眞』を見てきた後に『元カレ』を見たので,なおいっそう.

広末好き好きだったのですが,「WASABI」を去年の丁度今頃,飛行機の
中で見て酷く幻滅した記憶があります.でも,このごろのLIFE CARD の
CMなんかは非常に良いんじゃないかと.これは広末涼子というよりも,
岩井俊二好き好きだからピンと来るのかもしれませんけど.
 
> 映画の方は……うーん,これが堤幸彦監督? と思うほどイマイチ感がたっ
> ぷりでしたけど,彼の小ネタだとか,写真が好きだとか,学生って若いな
> あと思いたい人にはオススメです(何だそりゃ).かわいいヒロスエを堪能
> したい人には,後半で登場シーンが少なくなるので,それに耐えられれば.

あと意味のない銃撃シーンとか :-)

鑑賞直後は「『ホーンティング』(ヤン・デ・ボンの)以来の幻滅感」と
いう感想を抱いていたのですが,色々考えていくうちに,これって作品
そのものが実は何かを揶揄しているんじゃなかろうかと考えました.
いや,ただ1000円が惜しかったから面白く解釈してやろうとこじつけて
いるだけなのかもしれませんが.

この作品って,美しい部分がたくさんあるんですが,不味い部分も同じ
程度に混ざっていて,それらがマーブル状に混ざり合っているものだか
ら,観れたもんじゃないという状況になっています.これはもしかして
不要なCGや、不要なエピソード、醜く肥大化した巨大なフィルムである
この作品自体が実はアメリカという国家あるいは、ニューヨークという
街を皮肉っているのではないかと.

失われてしまった何かを名乗って活動を続けることにより,それが失わ
れてしまったということを事実にさせようとしない,というところに,
アメリカの行為のけなげさが投影されているように解釈することも不可
能ではないかもしれない (かなり後ろ向き) .

カシアスが述べる台詞「このニューヨークを好きなように切り取ってく
れ」というのは、この「恋愛寫眞」がそうであるように,美しいカット
だけを切り取れば素晴らしい作品であるように見えるが,そうでない箇
所ばかりを切り取れば最悪な作品に見える.アメリカという国家を,と
あるフィルタを通して見れば最悪の勘違い国家だが,違う位相で見れば
美しさに満ちた国であるということを忘れてはいけないよ,と.


グラウンド・ゼロのシーンがすっごく浮いてるんですよね.あのシーン
にどんな意味があるのか,ただ単に「まあ知識人としてこれに触れにゃ
いかんよね」的触れ方なのか,とか考えたら,ああ,もしかしたら上記
のような意図があったのかしらん…などと考えた訳です.

-- 
柏崎 礼生 (Hiroki Kashiwazaki)@HUIIC
Ph.D candidate in the Division of Electronics & Information
Engineering, Hokkaido University
mailto:reo@cc.hokudai.ac.jp
Tel:+81-11-706-2998