新城@筑波大学です。こんにちは。

PC遠隔操作事件で保釈された片山さんですが、さっそく IWJ がインタビューを
しました。初回は、生中継だったみたいですね。私はアーカイブで見ました。

    2014/03/07 【PC遠隔操作事件】岩上安身による片山祐輔さん・佐藤博史弁護士 独占インタビュー
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/128266

片山さんは、録音録画をすれば取調べに応じると言っていたのですが、その理
由がわかりました。警察の調書で C# の能力について、言っていることと違う
ことが書かれていたのが発端。その後、取調べはほとんど行われなかったので、
きつい尋問はなかったとのことだした。例外は、逮捕後に「弁解録取」という
手続きやるはずなのに、それをやらないで、取調べをした所。

あと、江ノ島の防犯カメラの画素数の問題も出てきました。次の記事だと、画
素数「3Mピクセル」。法廷に出てきたのは、DVD品質だから、720*480でかなり
荒い。弁護側は元の画像を出して欲しいと請求しているのに、検察が出さない
とのことでした。

    http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130211/crm13021100440000-n1.htm

荒い画像しか出さないとなると、元の鮮明な画像が出てきたら、片山さんが犯
人ではないという証拠になるのを、隠しているという話も成り立ちます。上の
記事とはまったく逆です。ただ、防犯カメラの画像の全体で3Mピクセルでも、
広い範囲を撮影したいたとすると、片山さんが写っていた部分は法廷に出され
た程度の不鮮明なものしかないということはありそうです。どちらにしても、
元の3M ピクセルを出して欲しい。さらに超解像の技術もあるのだから、使って
みて欲しい。

佐藤弁護士は、去年の2月の逮捕直後、警察や検察には心ある人がいるのを期待
して、「決定的な証拠はないだろう、あれば見せて早く楽にして欲しい」と、
いろいろ場外で接触していたようです。佐藤弁護士と接触した人は、黙ってし
まって、半分証拠がないことを認めたみたい。でも組織の上の方の指示で動い
ているので、末端の人は何もできなかったという考えです。IWJ の岩上さんは、
去年の2月には日米捜査当局の協力関係の話が出ていたので、それが影響して立
ち止まれなかったという説を出していました。この話は、再配信されています。

    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/63241

私は、トップダウンが効いていて、日米協力の絡みで止まれないというのは少
し違うかなあと思いました。中央サーバの指令を末端が聞くというような話で
はないと思いました。そうではなくて、組織の内部の一人ひとりが、人間性を
失ってしまって、個人の感覚が失われて、単に立場を守るような行動をしてい
るのかと思いました。一人ひとりが分散アルゴリズムで行動していると、こん
な感じで全体としては無実の人を何年間も閉じ込めたり、戦争に突っ込んでいっ
たりすることはあるのか思います。分散アルゴリズムを正すのは、P2P なので
けっこう面倒ですけれど、まあやるしかないのでしょう。

このインタビューでは、IWJ 岩上さんの他に、三上洋さんという「IT ジャーナ
リスト」も片山さんに質問していました。鋭い質問はなかったなあという印象
です。遠隔操作事件の犯人は、さまざまなメールをマスメディア等に送ってい
るのですが、そのメールを送信したという痕跡が、片山さんの周辺からまった
く出ていないということを聞き出していました。

メールの送信とかプログラム開発の痕跡を残さないようにするなら、仮想計算
機を使う等の方法も有り得るのですけれど、そうなると「仮想計算機」という
痕跡が残ります。それも消すのに、仮想計算機の中で仮想計算機を動かしても、
外側の仮想計算機は残るわけです。乗っ取った計算機を遠隔で使いながら
iesys を開発するというのは、かなり辛い。そんな遅延が大きい環境で高度な
プログラムを作るのはかなりつらい。

iesys のバイナリは、最後、Visual Studio でコンパイルされたものですが、
片山さんは職場で Eclipse しか使っていませんでした。これは同僚も見ていた
はずです。Eclipse で C# のプログラムを開発するのは、不可能ではないので
しょうが、まあ実際問題、iesys クラスのプログラムを作るのは辛いのでしょう。

最後に、片山さんを支援するために、寄付金を集める活動が始まるという話も
ありました。(3月10現在、まだ始まってないと思います。)

\\ 新城 靖 (しんじょう やすし) \\
\\ 筑波大学 情報工学        \\