憲法学者の法的安定性と論理学での矛盾の導出
新城@筑波大学情報です。こんにちは。
6月16日の IWJ の次の番組は、面白かったですね。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/249458
2015/06/16 「法の支配に対する挑戦が行われている」
気鋭の若手憲法学者が安保法制を進める政府・与党の「無法者」ぶりに警鐘を鳴らす!
岩上安身による首都大学東京准教授・木村草太氏インタビュー
憲法学者の考え方は、普段なかなか接することがないのですが、数学や情報科
学の論理学と同じような手法を使っていると思いました。岩上さんが、あれこ
れっと広い話をさせようと攻めるのですが、木村さんは、憲法から「演繹でき
ること」しか言いません。この攻防も見応えありました。
この番組で印象に残ったのは、「法的安定性」という考え方です。これは、法
律の世界でいろいろな意味があるのでしょうが、この番組を見て私が思ったの
は、論理学の演繹で、ある命題が真であるという結論と偽であるという結論の
両方が出てくるということ、つまり、矛盾するということが、「法的安定性が
失われる」と言っているのだと思いました。矛盾が出てくることをうまく使え
ば、論理学ならば、背理法という技術を使って、定理の証明には役に立ちます。
でも法律で矛盾が出てくると、ある行為が合法だったり違法だったり両方導か
れてしまいます。その結局、法の支配そのものが崩壊します。同じ時速120kmで
も、ある時はスピード違反で、ある時は違反ではないという結果が出てきます。
国会の議論は、音声、つまり、空気を媒体にしてやっていますが、書き言葉、
つまり、fj のようなネットニュースのやり方で、やると、話がかなり簡単にな
る思いました。わら人形論法なんか、簡単にわかります。
木村さんの話では、集団的自衛権行使ができないのは、日本国憲法から演繹で
きないからだ、ということでした。次の文がまとまっていてわかりやすい。ネッ
シーの話は、IWJ でもしてました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150616-00000008-wordleaf-pol
なぜ、憲法学は集団的自衛権違憲説で一致するのか? 木村草太・憲法学者
THE PAGE 6月17日(水)12時0分配信
解釈改憲は、警察予備隊作る時に一度はやってしまったのでしょう。その後、
13条と前文から自衛隊合憲を演繹するのに成功しました。ベトナム戦争、湾
岸戦争でアメリカは日本に自衛隊を出せと圧力をかけたのに、日本政府は憲法
から演繹できないといって、断ってきました。これは、うまくいったわけです。
今日、外務省は、アメリカ隷従を極めるために、自衛隊を差し出そうしていま
す。それで憲法から演繹することをあきらめて、法の支配そのものを破壊しよ
うとしているのでしょう。
でも、外務省は何でそこまでしてアメリカに隷従したいんだろうか。その方が
自分たちにとって得だということなんですかね。植民地で、現地の人で宗主国
の手先になると得するのと同じような話で。
\\ 新城 靖 (しんじょう やすし) \\
\\ 筑波大学 コンピュータサイエンス \\
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735