「鏡はなぜ左右のみを反転して上下を反転しないのか?」の間違い
「鏡はなぜ左右のみを反転して上下を反転しないのか?」という問いは鏡像問題でよく取り上げられているが、鏡が上下を反転しないというのは間違いで、実
は「鏡は左右または上下を反転させる」という言い方が正しい。具体的な例として、水面に映った富士山のことを逆さ富士と言うが、これは水面を鏡と考えた
場合、上下が逆さになる典型例である。
次に鏡はなぜ「左右と上下」ではなく「左右または上下」が反転するのかという問いに対する答えは「鏡像問題に対する幾何学的解答」で既に述べたが、鏡
像は実物と線対称の関係の二次元像なので、一つの静止した鏡像の線対称軸は1本しかない。つまり「左右と上下」が同時に反転するには対称軸が2本なくて
はいけないが、鏡像は平面画像なので線対称軸の1本しかなく、その結果「左右または上下」という二者択一の反転となるのである。
では、人はなぜ上下ではなくほとんどの場合左右が逆転すると認識するのかというと、富士山のような不動の物をを除き、人は鏡像の線対称軸を地面に水平
に引いても、その線対称軸を垂直にした場合の画像として上下左右を判断するという習性があり、その習性がそうさせているのである。
この人の習性という点は鏡像問題とはまた別の生物学的問題であり、人間が重力に支配された地上という水平面に生息する生物であるゆえに生きる上で左右
の判断が一番大切であり、生死を左右することに由来しているからである。
鏡像の反転現象自体は実は非常にシンプルな構造になっているが、鏡像があまりにもリアルであるために学際的な解釈が行われて種々の学問が結びついてし
まっているが、鏡像の左右・上下反転問題もその一例である。
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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