ムーティ/フィルハーモニア管:ハフナー,レ・プレリュード,悲愴
2007.03.21 Palace of Arts, Bartok National Concert Hall (Budapest)
Riccardo Muti / The Philharmonia Orchestra
1. Mozart: Symphony in D major (Haffner), K. 385
2. Liszt: Les Preludes
3. Tchaikovsky: Symphony No. 6 (Pathetique), Op. 74
恒例「ブダペスト・スプリング・フェスティバル」の今年の目玉は,
ムーティとフィルハーモニア管弦楽団による強気の「ノー・ソリスト」
プログラムです。まだ曲目が未発表だった昨年夏の時点ですでに一般
売りは完売,プラチナチケット化していました。
ムーティを見るのは実に8年ぶり,新婚旅行のウィーン以来です。よく
見ると指揮中だけ眼鏡をかけていて(意外でした)顔からも老いは
隠せないものの,柔軟で格好の良い指揮ぶりは全く健在で,見ていて
惚れ惚れします。8年前も感じたのですが,実演でこの人の棒が導き
出す音はCDで聴く場合とずいぶん印象が異なり,相当に抑制の利いた
上品なものです。今日は席が0階ながら舞台から遠い場所だったことも
あって,ハフナーなど,音量的にちょっと品がよすぎる感がありまし
た。2曲目の「レ・プレリュード」からはぐっと編成も大きくなり,
トゥッティではそれなりに馬力のあるところも見せていましたが,
やはり基本的にはデリケートな弱音が命の抑えめの演奏。いわゆる
「爆演系」(って何だ?)とは対極に位置しています。私の好みは
どちらかというと爆演ですが,こういう細かくコントロールの利いた
お洒落な演奏も,じっくり聴くにはまた良いものです。ご当地物と
いうこともあって,ブラヴォーの嵐でした。
フィルハーモニア管を生で聴くのも実は同じく8年前のロンドン以来
でした。ここのオケはロンドンにありながらも非常に大陸的というか,
ドイツ的重厚さを持ち備えた,私の中では好感度の高いオケです。
派手さはないがいかにも渋い木管,ずんと腹に届く低弦と雄弁な
ティンパニは健在で,特にティンパニはムーティの厳しい抑制の中でも
彼だけは別格なのか,ところどころで自分の「見せ場」を勝手にバリバリ
作っていました。「悲愴」は私の好みとしては金管がもうちょっと
派手な方が良かったですが,抑えめな第1楽章と対照的に,溜めていた
感傷を一気に解放したような終楽章がたいへん感動的でした。
アンコールはマルトゥッチの「ノットゥルノ」という珍しい曲で,
演奏前にムーティによる長い解説がありました。「悲愴」の後では
どんな曲でも演奏しにくいが,ハンガリーの聴衆に是非マルトゥーチを
紹介したい,彼はこれこれこういう立派な人で,ワーグナーを初めて
イタリアに紹介し,リストと親交があったのでハンガリーとも関係が
ある,などというようなことを話していました。トスカニーニも好んで
演奏したらしいのでイタリア人の誇りなのでしょう。世紀末の曲ですが
全くの前期ロマン派風で,穏やかさのうちに終始する感じの佳曲でした。
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この「演奏会備忘録」はとりあえず今回で最後です。長らくのご静読
ありがとうございました。
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はっしー@ぶだぺしゅと
演奏会備忘録 <http://www.ne.jp/asahi/hot/space/concert/>
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