ハンガリー国立歌劇場(エルケル劇場):椿姫
2006.12.02 Erkel Theatre (Budapest)
Mate Sipos Szabo (Cond), Andras Bekes (Dir)
Eszter Sumegi (Violetta), Katalin Gemes (Flora)
Jolan Santa (Annina), Attila B. Kiss (Alfredo)
Viktor Massanyi (Giorgio), Tamas Daroczi (Gaston)
Ferenc Valter (Grenvil), Gabor Nemeth (Douphol)
1. Verdi: La Traviata
最初から幕が開いており,本来幕が降りている位置にはマジックミラー
のつい立てが置いてあります。冒頭,暗い舞台のそのつい立ての前で
アルフレードが沈痛な表情で家具や中国壺を運び出す場面から始まり,
全体が彼の回想シーン仕立てになっている演出だな,とわかります。
前奏曲が終わるとおもむろについ立てが上がり,舞踏会のスタートです。
この舞踏会にしろ,第2幕のカジノにしろ,大がかりな舞台装置はないの
ですが,出演者の衣装が皆ゴージャスで,非常に華やかな舞台でした。
第1幕でヴィオレッタがワイングラスを叩きつけ,本当に粉々に散った
のには驚きました(後片付けのスタッフ,ご苦労様です)。また,
つい立てや人垣の後ろで素早く大道具を入れ替え,場面転換する工夫に
感心しました。元々展開が早くダレるところのないこのオペラですが,
おかげで飽きることなく最後まで魅せました。
ヴィオレッタのシュメギ・エステルはちょっとぽっちゃり目の体型を
衣装で巧みに隠し,第1幕こそちょっと声が上擦り気味だったものの,
後は素晴らしい熱唱でした。アルフレードのキシュ・B・アッティラは
テノールにあるまじき野太さのある声が特長です。押すだけでなく
引きもある懐の深い表現力で,これまた非常に良かったです。特に
キシュは,容貌で損をしているのかもしれませんが,世界のどこに出て
行っても通用するのではないかと思います。(もう出ていってるのかな?)
主役の2人がハイレベルだったので,他は多少控えめに脇役に回るのも
仕方ないかと思いましたが,アルフレードの父は,もうちょっと声に
威厳と説得力が欲しかったかなと。指揮者は一昨日の「後宮」と同じ
人で,オケの演奏は緊張感が最後まで緩まずなかなかのものでした。
第3幕のラストでは,ヴィオレッタの最後を悟り,ベッドの枕に突っ伏
して悲しむアルフレードをよそに,ヴィオレッタがベッドから下りて
最後のアリアを歌い,そのまま一人で床に倒れ込みますが,その間も
アルフレードはヴィオレッタに見向きもせず突っ伏したまま。ちょっと
変わった演出なので,アルフレードの回想というよりは,ヴィオレッタ
の幻覚+時間差シーン重ねという仕掛けだったのかもしれません。
それにしても風邪が流行ってきているので,あちこちでゴッホン,こっち
でゲホゲホと,観衆のうるさいこと例年のごとし。特に,最も静かに聴き
たい第3幕で,連鎖反応的に咳や鼻かむやつらが続出したのにはブチ切れ
そうになりました。人がやったら自分もやっていいとは,ハンガリーの
「しつけ」もなかなかご立派なもんですな!私などは花粉症の季節には
薬で鼻水を止め(おかげで眠くなること多し),風邪でのどが痛いとき
にはのど飴を大量に持ち込んで,他人の「時間」を奪わないよう,何とか
がんばっているんですがね。ブダペスト聴衆のマナー未成熟ぶりにこうも
毎回接すると,何ともむなしくなりますな。
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はっしー@ぶだぺしゅと 演奏会備忘録
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Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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