コロジュヴァール歌劇場:魔笛
2006.11.05 Erkel Theatre (Budapest)
Kolozsvari Magyar Opera (Hungarian Opera Cluj)
Gyorgy Selmeczi (Cond), Pantea Ionel (Dir)
Janos Szilagyi (Sarastro), Adorjan Pataki (Tamino)
Brigitta Kele (Pamina), Ibolya Vigh (Queen of the Night)
Arpad Sandor (Papageno), Andrea Puja (Papagena)
Zsolt Derecskei (Monostatos), Levente Szakacs (Priest)
Szilad Sziklavari (Old Priest, Speaker)
1. Mozart: The Magic Flute (Hungarian version)
ドラキュラ伝説で有名なルーマニアのトランシルヴァニア地方は,第一次
世界大戦まではハンガリー領でした。かつてハンガリー王国中最も美しい
自然にあふれた土地と言われ,敗戦後のトリアノン条約でルーマニアに
割譲した後も150万人に上るハンガリー系住民が居住するこの地方を,
今でも「ハンガリーのものだ」と主張するハンガリー人は多数おります。
コロジュヴァール(ルーマニア語ではクルージュ・ナポカ)はそのトラン
シルヴァニアの中心都市で,そこのハンガリー語歌劇場がブダペストに
やってくるというので,娘に「魔笛」を見せてやりたかったこともあり,
物珍しげに見に行きました。
オケの演奏は意外と,と言っては失礼でしょうが,しっかりしていました。
ブダペストの歌劇場と比べて何ら遜色ありません。問題は歌手のレベルに
相当なバラツキがあり,特に女声陣は総じてボロボロ。パミーナが若くて
美人で声もよく,一人気を吐いていたのに対し,3人の侍女やパパゲーナは
本職のオペラ歌手とは思えないレベル。夜の女王はどう見てもパミーナより
さらに若く(まあそういうことはよくありますが),第一幕のアリアが
あまりにヨレヨレだったので,この後大丈夫かいなと思いましたが,第二幕
の有名な「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」のアリアは何とか無難に
乗り切り,拍手喝采をもらっていました。聴いている方はハラハラし通し
でしたが。一方の男声陣は,ザラストロ,タミーノ,パパゲーノの主役級
は総じて声量十分で声もよくハイレベルでしたが,ザラストロとタミーノの
風貌があまりに似ていて,親子に見えてしまうのが玉にキズでした。なお,
弁者は僧侶役にマージされていました。また,3人の天使はボーイソプラノ
ではなく少年の扮装をしたソプラノ3人が演じていましたが,うち2人は全く
「おばちゃん」だったので,ちょっと興ざめでした。
前日,娘にはメトロポリタンのDVDを見せて「ドラゴンが出てくるよー」と
期待をあおってしまったのですが,ドラゴンは赤いベールの衣装を纏った
女性がひらひらと走り回るだけ,という演出だったので万事休す。上演中
何度も娘から「ねえ,ドラゴンはまだ出ないの?」と聞かれ,ひたすら
謝るパパでした。シンプルな舞台装置ながら,奇抜に走らないクラシカル
な演出でしたが,やはり子供にはちょっとシンプルすぎて退屈だったかも。
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はっしー@ぶだぺしゅと 演奏会備忘録
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Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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