ギーレン/南西ドイツ放送響:グレの歌
2006.11.03 Palace of Arts, Bartok National Concert Hall (Budapest)
Michael Gielen / SWR Symphony Orchestra Baden-Baden and Freiburg
Bavarian Radio Choir
Radio Choir of the MDR Leipzig
Melanie Diener (Tove: Ms), Dagmar Peckova (Wood Dove: A)
Robert Dean Smith (Waldemar: T), Gerhard Siegel (Klaus-Jester: T)
Ralf Lukas (Peasant: Br), Andreas Schmidt (Narrator)
1. Schoenberg: Gurre-Lieder
現代音楽の牙城,ミヒャエル・ギーレン指揮/南西ドイツ放送響による
シェーンベルクの超大作「グレの歌」がブダペストにやって来ました。
一度は生で聴きたいと思っていた曲なので,期待は高まりました。
全体がよく見渡せるようにと思い,2階席(日本でいう3階)正面の最前
列ど真ん中を買いましたが,当日「今日は2,3階の席は閉鎖されます。
1階席(日本でいう2階)で聴いて下さい。座席はどこでも結構です」と
言われて驚きました。どういうこっちゃ?見ると全体的に客入りが悪く,
いつになく空席が目立っていました。2階以上が閉鎖されていることを
考えると全体の客入りは6割未満といったところでしょうか。このホー
ルは普段どんな演奏会でもそこそこ席は埋まりますし,現代音楽の初演
ばかりならいざ知らず,演目は有名な「グレの歌」ですから,何か営業
のミスでもあったのではと想像します。原因は何にせよ,はるばるドイ
ツから遠征してくれたオケ,合唱団総勢約300名の出演者には気の毒な
気持ちになってしまいました。
ギーレンは先日のマズアと同い年で来年80歳を迎える,今や巨匠の一人
ですが,足どりはマズアよりずっとしっかりしていました。無駄にエネ
ルギーを使わないクールな指揮ぶりで,奏でられる音楽も淡々と醒めて
います。ロマンチックなものではないだろうと最初から思っていました
が,細部に渡り透明度の高い,巨大なガラス細工のごとく繊細かつ刺激
的な演奏を期待しておりましたら,何かただ淡々と進むだけで,緊張感
があまり伝わってきません。座った席のせいなのか,ちょっと楽器の数
が増えるとすぐに音がぐしゃっと塊になってしまい,想像していたよう
なクールな演奏とはだいぶ趣が異なりました。思うにこのオケ,管も弦
もあまり洗練された音色ではなく,特に弦は全体的に線が細くて痩せた
印象を受けましたが,昔,確か2ch掲示板で見かけた「ギーレン,実演
で聴くと意外とたいしたことない」というカキコミをふと思い出しまし
た。それでもオケ,合唱各々150人もの大編成(もっとも,本来なら400
人以上必要みたいですが)で聴くその迫力はなかなかのものがありまし
た。ただ,あまり力任せな演奏ではなかったこともあり,オケの音量と
しては通常編成のブダペスト祝祭管の方がよっぽど大きい気もしました。
歌手は山鳩のアルトと農夫のバリトン,最後の語り手が素晴らしく,テ
ノールの2人は声量に欠け,終始オケの伴奏に負けていたのが残念。
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はっしー@ぶだぺしゅと 演奏会備忘録
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