ブダペスト祝祭管:マーラー5
2006.09.10 Palace of Arts, Bartok National Concert Hall (Budapest)
Ivan Fischer / Budapest Festival Orchestra
Welte piano rolls from 1905 (1,2)
Tunde Franko (S-2)
1. Mahler: Symphony No. 5, 1st movement
2. Mahler: Symphony No. 4, 4th movement
3. Mahler: Symphony No. 5
前半はマーラー自身が残したピアノロールからスタインウェイのピアノ
を自動演奏させるという,本来なら初日の室内楽の日に披露すべきような
企画でした。このピアノロールの存在は結構有名で,私も大昔にNHK-FMで
聴いたことがありますが,実際にWelteの自動ピアノによる生?演奏を
聴ける機会などそうそうないので,非常に興味深かったです。第4番終楽章
では自動ピアノに合わせてソプラノが歌をかぶせたのですが,マーラー
自身の演奏が意外と速めで,当然テンポも目まぐるしく変わるので,
たいへん歌いにくそうでちょっとかわいそうでした。それもまあ当然で,
この楽章は絶対的に歌が主役ですから本来は伴奏が歌に合わせなくては
ならないものを,立場が逆転していますから,歌手にとってはできれば
受けたくない仕事だったろうと同情します。
さてメインの5番ですが,一昨日のコンセルトヘボウがたいへん素晴らしい
演奏だったので,それを聴いていたフィッシャーさんもさぞかし気合いが
入るだろうと予測していましたら,その通り,いつもにも増して鼻息の
荒い激しい指揮ぶりでした。あとで楽団員の人に話を聞いたら,やはり
祝祭管団員の半分くらいはコンセルトヘボウの演奏会を聴いていたらしく,
皆さん触発されて闘志を燃やしたそうです。実際,気合いが入っている
のはよく伝わってくる演奏でしたが,ちょっと入りすぎで,特に金管が
うるさすぎて,バランスをくずしているような気がちょっとしました。
もちろん,いつものごとく演奏は世界中どこに出しても恥ずかしくない
ほど隙がなくレベルの高いものだと感心しましたが,相対的には管・打に
比べて弦が,あれだけ人数をそろえてもまだパワー不足であることがわかり,
正直な印象を言えば,祝祭管をAクラスとすればコンセルトヘボウはさらに
上の特A,と断言できる差はまだあるのではと感じました。アダージエット
などを聴く限り祝祭管の弦はそれ自身では何も問題なく,むしろ隙など全く
なかったので,これはオケ全体のバランスの話にもなるのでしょう。ある
意味祝祭管にはまだまだ伸びしろがあるということで,定期演奏会の聴衆と
しては今シーズンも楽しみが尽きないところです。
余談ですが昨年のマーラーフェストで聴いた祝祭管の「復活」がCD化
されていたので早速買いました。ついでにコンセルトヘボウの自主製作盤
からマーラー6番とショスタコ7番も衝動買いしてしまいましたが,どれも
ライブとは思えない質の高い演奏でしたので,良い買い物をしました。
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はっしー@ぶだぺしゅと
演奏会備忘録 <http://www.ne.jp/asahi/hot/space/concert/>
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