2006.06.29 Bela Bartok Memorial House (Budapest)
Microcosmos String Quartet
Gabor Takacs-Nagy (Vn), Zoltan Tuska (Vn)
Sandor Papp (Va), Miklos Perenyi (Vc)
1. Bartok: String Quartet No. 4
2. Bartok: String Quartet No. 5

バルトークの作品中でも特に弦楽四重奏曲は「一見さんお断り」の
たいへん取っ付きにくい音楽だという印象を持っていたのですが,
だからこそこちらに住んでいるうちに一度本場のプロの演奏を聴いて
みたいものだと思っていたところ,タカーチ弦楽四重奏団の元メンバー
にして創設者のタカーチ=ナジとペレーニおじさんが共演するこの
演奏会を見つけ,チケットも安かったので取りも直さず駆けつけて
みました。バルトーク記念館で演奏会を聴くのは初めてです。

ミクロコスモス弦楽四重奏団と名乗るこのユニットの結成は1998年まで
遡るそうですが,ペレーニはソリスト,タカーチは指揮,他の二人も
それぞれ所属する弦楽四重奏団で多忙なためこれまで活動記録はあまり
なく,今年からシフ・アンドラーシュと共演しながら初めてヨーロッパ
各地で演奏旅行をやるそうです。私は正直言って弦楽四重奏の良し悪し
はよくわからんのですが,聴いた印象ではやはりタカーチとペレーニの
演奏が突出していて,他の二人は控えめなサポート役に徹していました。
タカーチは荒い鼻息でテンポを取り,始終表情豊かに楽しんで弾いて
いました。年相応に枯れた味わいで渋い音色のヴァイオリンでした。
対するペレーニはいつもの通り見かけはたいへん控えめながら,そこは
やはりソリスト,音に圧倒的な「華」があり,第4番3楽章のソロなどは
全く惚れ惚れして聴き込んでしまいました。何といっても生で,しかも
至近距離でこういった一流の演奏を聴ける機会は本当に貴重なものです。

バルトーク記念館はせいぜい100名ほどの小ホールで,冷房がないため
窓は開けっ放し,途中バイクの爆音や子供の遊び声が聞こえてきたり
して,なかなかアットホームな雰囲気でした。ただこの季節,ホールの
中はどんどん暑くなり,熱気あふれる演奏も相まって,奏者も客も汗
びっしょりになっていました。2nd Vn以外は皆年配のこのメンバー,
アンコールでは第5番のアンダンテを再奏してくれましたが,人一倍
汗だくだったヴィオラのパップさんが演奏前に「ふぅ〜」ともらした
大きな溜め息が非常に印象的でした。

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はっしー@ぶだぺしゅと

演奏会備忘録 <http://www.ne.jp/asahi/hot/space/concert/>