2006.05.03 Hungarian State Opera House (Budapest)
Peter Oberfrank (Cond), Miklos Szinetar (Dir)
Sandor Roman (Choreography-1), Jeno Locsei (Choreography-2)
Zoltan Olah (Prince-1), Adrienn Pap (Princess-1)
Jozsef Cserta (Wooden Prince-1), Krisztina Vegh (Fairy-1)
Dace Radina (Girl-2), Levente Bajari (Mandarin-2)
Peter Fried (Bluebeard-3), Szilvia Ralik (Judit-3)
1. Bartok: The Wooden Prince
2. Bartok: The Miraculous Mandarin
3. Bartok: Bluebeard's Castle

今年のバルトーク生誕125周年を記念した国立オペラ座の出し物は,
「トリプル・バルトーク」と称した新演出の劇場用作品3本立てです。
どれもこってりと見応えのある舞台で満足度は高かったのですが,
正直疲れました。

「かかし王子」はたいへん凝った幻想的な舞台で,可憐な王女が非常に
良かったです。「役人」もとうとう新しいプロダクションになり(後で
調べたら前回と前々回に見たのは概ねハンガリー初演時そのままの極めて
伝統的なな演出・振り付けだったようです),コンクリート打ちっぱなし
のような舞台に冒頭少女がベルトコンベアで宙吊りになって登場した時は
いったいどんだけモダンな演出かと思ったのですが,基本的には元の台本
を忠実になぞっており,比較的とっつきやすい演出でした。演出のポイント
は「分裂する登場人物」で,娼婦の少女は7人,ならず者は9人にも増殖
します。学生風の若者やマンダリンまでもミラーのごとく2人に分裂して
いました。そのマンダリンは全身タイツの新劇風で,中国人のイメージを
あえて強調しないコスチュームでしたが,これはこれで赤い装束の
キョンシー風ステレオタイプよりむしろ好ましいとさえ思いました。
最後の「青ひげ公」は毎回違う演出で3度見たことになりますが,今回
のが最も元の台本で指定された舞台設定に近いと思いました。歌手は
どちらも内向的にこもるのではなく朗々とドラマチックに歌い上げ,
オケも若い指揮者にけん引されていつになく瑞々しく(実はあえて常任
指揮者のKovacsおじさんが振らない日を選んだのです),総じて充実度
の高い舞台でした。また機会があれば是非見たいと思いましたが,3本
立ては長丁場で見る方も体力が要るので,ストラヴィンスキーのバレエ
でも加えて2本立て2つに分けてくれるのが理想です。

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はっしー@ぶだぺしゅと

演奏会備忘録 <http://www.ne.jp/asahi/hot/space/concert/>