ハンガリー国立フィル:バルトーク生誕125周年記念演奏会
2006.03.24 Palace of Arts, National Concert Hall (Budapest)
Zoltan Kocsis / Hungarian National Philharmonic Orchestra
Barnabas Kelemen (Vn-1), Dezso Ranki (P-2)
1. Bartok: Violin Concerto No. 1, op. posth
2. Bartok: Piano Concerto No. 1
3. Bartok: Concerto for Orchestra
バルトーク生誕125周年記念演奏会と称し,数多いハンガリー人の著名
ソリスト中でも,ラーンキ,ケレメンといった「コチシュ派」の人々が
顔をそろえています。ケレメンはバルトークでもいつものごとく顔の表情
豊かに陶酔仕切った演奏を聴かせていました。若いのに卓越した技量も
さることながら,オケの方に合わさせず自分から合わせに行く姿勢が
いつも好感が持てます。この日はVn協奏曲の1番なので彼のキャラとも
合っていたような気がしますが,2番ならはたしてどう弾くのかたいへん
興味があります。
次のP協1番はピアノの回りに打楽器群を配置して,ピアノを打楽器の
ように取り扱うこの曲の特質を際立たせようとしていましたが,その割り
には全体的にリズミカルさに欠け,また打楽器奏者が慣れない位置で
演奏する緊張とスペース不足から必要十分に楽器を鳴らせておらず,
正直言ってアイデア倒れだと思いました。ラーンキのピアノはメリハリ
に欠けるかなと少し思いましたが,非常に精巧で粒の際立った演奏だった
ので,伴奏に足を引っ張られた印象です。
オケコンはコチシュらしい超高速ぶっとばし演奏で,まあこれでもしオケ
が例えばシカゴ響だったりすれば非常に私好みで良かったのですが,
ハンガリー国立フィルでは何とかついていくのがせいいっぱい。オケより
も指揮者の責任ですが,結果として弦の音が貧弱に傾き,全体として浮いた
雰囲気で迫力に欠けました。せめて,もっとリズムを強調した演奏であれば
退屈せずに聴けたのでしょうが…。やはり先日聴いた祝祭管の方が基礎力は
よっぽど鍛錬されているな,と感じました。オケのトレーナーとしての
コチシュの実力は疑問符です。まあ,本人の「つもり」とはうらはらに,
指揮者である以前にやっぱりピアニストなのだと思います。
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はっしー@ぶだぺしゅと
演奏会備忘録 <http://www.ne.jp/asahi/hot/space/concert/>
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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