禍なるかな、法律家よ!

フレッド・ローデル
清水英夫、西迪雄翻訳

 法律用語に使われる言葉や言い回しは、法律家でない者には、全くお目にかか
ったことがないものか、それとも自分の語彙の中にはあるが、法の中ではそれと
はぜんぜん異なった意味に違いないということにすぐ気がつくような使い方をし
ている。あるいは稀に法律文全体が通常の意味にとれる普通の言葉で作られてい
る場合でも、文章自体は、常識とは違うように組み立てられていがちである。そ
こで非法律家は、肩をつぼめて、ああ、これも法律家にはきっとなにか意味があ
るのだろうというのである。
 法律用語は、法の強大なまやかしを二重に防御する働きをしている。すなわち
一方では、法的論理が穴だらけで実際には一個の広い空洞だということを非法律
家に発見されないようにしている。他方では、法律用語をすらすら使うことが、
この職業に秀でているしるし・・・つまり法律家の中の法律家の折り紙・・・だ
と広く認められているため、法律家たちは、ヒーローにならって、言葉を巧みに
操ることに忙しく、また満足しきっているから、一歩立ち止まって、言葉の背後
にあると言われる観念を吟味しようとはしない。


こまったもんだ。

まつむら