韓国・朝鮮の漢詩
韓国は日本に比べて独自の文字が新しく、1446年君民正音(ハングル)が公布される
まで、記録も文学も漢文によっていた。秀でた詩人も多く、ときどきの中国でも賞賛され
ている。
漢詩に対して、朝鮮語の詩体には、新羅の「郷歌」(ヒャンガ)、これを継承した「歌
詞」(カサ)「時調」(シショ)がある。
ここに、代表的な漢詩をいくつか紹介する。
送人 鄭知常
雨歇長堤草色多
送君南浦動悲歌
大同江水何時尽
別涙年年添緑波
大同江 テドンガン 高麗の首都平壌(ピョンヤン)を通る川。
南浦 ナンポ 大同江の河口にある港。
鄭知常 (チョン・チサン ?-1135)
過洛東江流 李奎報
百転青山裏
間行過洛東
草深猶有露
松静自無風
秋水鴨頭緑
暁霞猩血紅
誰知倦遊客
四海一詩翁
洛東江 ラクドンガン 太白山を源とし、韓国南部を流れ、釜山近くで日本海に注ぐ川。
間行 近道をする。
猩(猩猩)想像上の類人猿。声は小児の泣き声に似、人語を解し、酒を好むとされる。
猩血(しょうけつ)は真紅の色の表現。
四海一詩翁 「太白」が李白の字であることを意識していると考えられる。
李奎報 (イ・ギュボ 1168-1241) 高麗第一の文人とされる。
送白光勲還郷 林億齡
江月円復缺
庭梅落又開
蓬春帰未得
独上望郷台
作者林億林億齡 (イン・オグリョ 1496-1568)は志操の高い政治家だったらしい。王位
継承問題が発端の政争で、弟の林百齡(イン・ペクリョ)が反対派の儒学者を多数追放し
た際、自分を責めて退官。白光勲 ペク・グァヌン (1537-1582) は文官で李朝中期の代表
的詩人。
貧女吟 許蘭雪軒
手把金剪刀
夜寒十指直
為人作嫁衣
年年還独宿
許蘭雪軒 (ホ・ナンソルホン 1563-1589) 傑出した女流詩人。詩集は中国で高く評価
された。のちに、日本にも伝わり、出版された(1711年)。
参考サイト・書:
朝鮮の漢詩:
http://www.geocities.co.jp/Athlete/1538/KANSHI/hansi-ch001.htm (接続不能)
書き下し文を積み上げて来た労作だったが、アクセス不能に陥っている。
東京外国語大学 趙義成研究室 漢詩集より
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/etc/kansi/meisi.html#chosen
許蘭雪軒伝 朝鮮新報 2004.6.14 (和文)
http://210.145.168.243/sinboj/j-2004/06/0406j0614-00001.htm
春怨秋思:コリア漢詩鑑賞
瀬尾文子著 角川学芸出版
2003年9月 ISBN 4-04-651902-9
http://www.nikkannet.jp/zuihitu1.html 著者随筆「無知の罪」
詩人の伝、時調(シショ)の和訳も。隣国の歴史についての無知を思い知らされる。
預言者道祖
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