"Shinji KONO" <kono@ie.u-ryukyu.ac.jp> wrote in 
message news:3989702news.pl@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp...
> > あの3人の家族に対する反感の基礎は「責任棚上げ」にあるわけですからね。
> > 「責任を棚上げ」にして政府へ責任転嫁をしたからだという視点がすっぽり抜け
> > 落ちている気がします。
> 
> 僕は、そのあたりの反感に全然共感できないです。

めんどうくさいのでこれをどうぞ。亀井秀雄氏のサイトにあったサンデー毎日の引用です。
私の周りの実社会(ネット以外)の人間も同じような反応を示していましたけどね。

http://homepage2.nifty.com/k-sekirei/dojidai/iraq_2_01.html#m222
『サンデー毎日』5/2日号 岩見隆夫氏「サンデー時評」

 十五日夜、東京・世田谷の行きつけの居酒屋に入ったとたん、
 〈三人の日本人人質解放……〉の速報テロップが店のテレビ画面に映された。
 「おっ」と驚く私に、客から声が飛んだ。
 「いくら払ったんだ。あんた知ってるんだろ」
 「そんなこと、知るわけないよ」
 「一人一億円か。家族に払わせればいいんじゃないの」
 「……」
 そのうちに、三人の晴れやかな映像が映しだされると、
 「冗談じゃない。おまえら英雄じゃないんだぞ」
 「凱旋(がいせん)将軍みたいに帰ってきたら承知せんからな」などと穏やか
 でない。

 居酒屋のこうした厳しい反応は、街の平均的な空気を映しだしているとみていい。
 今回の人質事件ほど建前と本音が鋭く乖離(かいり)したのは、最近ではめずら
 しいことだった。人質救出の大合唱の一方で、だれもがどこかで本音をしゃべりたい。

 犯人グループから二十四時間以内の釈放声明が出た直後、同僚とタクシーに乗って、
 「釈放されると、次は家族批判があちこちから出るんだろうなあ」 
 「まあ、ねえ。政府は何をしてるんだ、自衛隊を直ちに撤退させろ、と家族は激しく
  やった。しかし、世間は、ちょっと違うんじゃないか、と思いながらも、黙ってた
 わけだから」
 などとやりとりしていると、運転手君がすぐ割り込んできた。 
 「そりゃそうですよ。お客さんは十人が十人、おかしい、と言ってます」 
 この時期、タクシーだけじゃない。会社の食堂といい居酒屋といい、どこもこの
 一点に絞られている印象だった。しかも、たとえ話がやたら多かった。
 「遊泳禁止区域と知りながら、悪がきが泳いでおぼれかけたのを、親が『けしからん』
 といって市役所に怒鳴り込むような話じゃないの」
 と憤慨しているのを聞いた。もうひとつぴったりこないが、子供の非に目をつぶって
 責任を他に転嫁する親の身勝手に怒っている。あるいは、
 「車に乗っていて死傷事故を起こした。車さえなければこんなことにはならないんだ
 から、車の製造をやめさせろ、と騒いでいるのと同じことだよ」
 というたとえも耳にした。とっぴなようでもあるが、自衛隊さえ派遣しなければ
 人質事件は起きていないのだから、犯人グループの要求どおり撤退させてくれ、と
 いう家族の発言の筋違いと似ていないでもない。
 家族側が、
 「小泉首相に会わせろ」
 と執拗(しつよう)に求めたのも、矢も盾もたまらない気持ちから出たものだから
 分からないではないが、被害者の権利意識のようなものがむきだしになりすぎて
 いて、やはり違和感があった。
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亀井秀雄氏はあとこのような文章で、「自己責任論」に関する論評を行っております。
こちらも興味深いので合わせて紹介しておきます。

「自己責任」免責論の責任
自己責任論の一人歩き
http://homepage2.nifty.com/k-sekirei/dojidai/iraq_2_07.html