Re: 出版差止の効力(Re:週間文春差し止めの正当性)
At Mon, 22 Mar 2004 16:07:31 +0000 (UTC),
in the message, <c3n303$2c5t$1@news2.rim.or.jp>,
sen_nin_st@rim.or.jp (Sen'nin Iio) wrote
>取引の安全という大前提がありますよね。
憲法上極めて重要である表現の自由にすら優先するようなものが、憲法上の要
請ですらない取引の安全に単純に劣後はしないと思います。
加えて言えば、取引の安全を具体的にどう害するのかも不明。
……実は、そもそも何の「大前提」なのかもよく解らんのではありますが。
>書籍の場合、返本ありの半年後払いという特殊な世界ではありますが、
別に書籍じゃなくたって「返品ありの掛取引」はいくらでもあり得ます。
そんなものは大して特殊ではない……。
……と言うか、そもそも書籍は、「返品ありの掛取引」ではありません。
書籍は「委託販売」であって出版社は取次・小売に本を売ったわけではありま
せん
(だから「返本」というのは「売買契約の解除」ではない。
つまり一般的な「返品」とは法的性質が全く異なる。
これは、2級レベルの商業簿記の勉強をしたことのある人なら知ってい
るはずだ。)。
売ってないんだから所有権は出版元にあるのであって、取次・販売店からの回
収は、「預けてある物を返せ」というだけのことです。
なので、一般の譲渡のように所有権の移転した物よりは回収は容易と言えま
す。
生協のように買取りの場合は少々違いますが
(この場合、そもそも返品無し。)。
既に客の手に渡ったものを回収するとなると話はややこしそうですが、直販
でもない限り誰が買ったかわかんねぇからなかなか難しいとは思うけど、そ
れは書籍に限った話ではない。
>反社会性を理由にするならともかくプライバシーの侵害では
>回収は無理でしょう。(数十万部×300円が供託できるか、という話もありますが)
「反社会性」は良くて「プライバシー侵害」は駄目とする法的根拠は何です
か?
そもそも、「反社会性」などという「プライバシー侵害」以上に抽象的な理由
の方が、それよりは具体的な「プライバシー侵害」よりも通りやすいとは思え
ません。
のみならず、「プライバシー侵害」は「反社会性」の具体例の一つとすら言っ
てもいいと思います。
プライバシーを侵害するのは、反社会的ではないですか?
# なお、社会全体の利益が個人の利益よりも価値があるという一般則は現行憲
法下では認められません。
……察するに、猥褻物頒布罪等の刑法犯に当る場合の意味で「反社会性」と
言ったのかも知れませんが……、だとすれば言葉の使い方として不適当で
しょう。
それから、回収命令を出せるとしてそうすると「数十万部×300円」(普通は
「300円×数十万部」と言うものだが。)を供託しなければならない法的根拠
は何ですか?
仮処分において供託は必要的ではないと思いましたが。
--
SUZUKI Wataru
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