なぜ、今ルソーなのか。
屠殺場につながれていく牛でさえ、直感で死刑を感じ取り、路上で座り込む。
激しく鞭打たれながらも、言葉無き牛でさえ、動こうとはしない。
わが国民は、言葉を持ち、善を愛する良心を持ち、善を知る理性を持ち、善を
選択する自由を持っているにもかかわらず、
屠殺場へとつながれていく。
今、なぜ、ルソーなのか、
ルソーは、隣人のごとくに我が民に甦ってこなければならない。
政治社会が成立するためには、支配・服従関係が伴う。
構成員皆が納得でき、成立後も自由と平等の関係が保たれる支配とは。
ルソーの解決策は、
共同体から私的意志を論理的に排除し、一般意思(全体の保存と幸福に注意
を払う公共の意志であり、公共の善)に構成員を全面的に服従させること。こ
の共同体こそ、ルソーの支持する国家。主権者たる人民が国家の私的意志で服
従させられることがあってはならない。
人間が真に自分の主人になるために、自らを無私なる全体に譲渡することで、
自由は道徳的自由にまで高められるとする、ルソーの自由とは、このような私
的意志を排除した(一般意思をもつ共同体である)国家と人民が、相互的な約
束を持続させることを前提とする。
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「自由になるように強制されること」これが人民主権の真髄であり、自由の
バロメーターだ。
自由は道徳的自由にまで高められてはじめて、啓蒙思想は完成する。だが、わ
が国に、姑息な私利私欲のエゴ的自由ののぶつかり合いはあっても、道徳的に
まで高められた自由があるか。
わが国民の自由への確信のなさ、努力のなさが、人民自らをして、屠殺場に向
かう牛にももとる民におとしめている。
改憲を論ずるときではない。国体を構成する人民が人民主権に目覚め、「自由
になることを強制される」人民主権を、まず国民に敷衍しなければならない。
それがすべての始まりである。経済改革も、行政改革も、この一点にかかって
いるではないか。
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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