kaz hagiwara wrote:
> 無論、中国はすぐにそんなおいしいカードを切るはずがありませんが、逆に日本
> の外務省がこの「甘いお誘い」をどう利用して対米、対東アジア関係を作ってい
> くか、ちょっと見ものです。

なんて書いたら、すぐに日本は「小泉首相靖国参拝へ」という動きに出ました。

これは、一方で、日本をヒール役にしておきたい中国共産党政権に協力しなが
ら、逆に中国が日本とのガス田共同開発に踏み切りにくい環境も作ってしまった
という意味でなかなか面白いタイミングの靖国参拝でした。

これで中国は、せっかく常任理事国入り支持をにおわす甘言を発した甲斐がなく
なってしまいました。日本にしてみればこの時期、常任理事国入りはそんなに喉
から手が出るほどほしいわけではありませんが、逆に中国はエネルギーが喉から
手が出るほどほしいわけです。日本をできるだけ手なづけて、共同開発という名
でエネルギー開発費を安くあげ、ついでに省エネ技術とかいろいろ手に入れたい
中国政府としては、この靖国参拝には面食らったはずです。

これまでのことがありますから、当然中国政府は靖国参拝を非難しますが、ここ
で日本をこれ以上悪役にしても中国は何の得もありません。また、オリンピック
へ向けて国のイメージを悪くするような暴徒も作りたくないはずです。そんなこ
としてる間にエネルギー事情が急激に悪化すればオリンピックが始まる前に経済
のハードランディングへとなだれを打つかもしれません。

日本の経済力はそんな中国にとってある意味命綱ですから、今日本とは仲良くし
ておきたいわけです。最近は「日本を悪役にしよう運動」はちょっとお休みし
て、「神舟6号作戦」の方で国民の目を政治からそらそうとしていた中国ですか
ら、本当は靖国参拝はあんまりとりあいたくないはずです。そんなこんなの猫な
で声だったはずですが、小泉首相はそんな中国の希望的観測をぶち壊しにかかっ
たわけです。

もし中国政府が今度の靖国参拝の件でヒステリックになるとすれば、それは、自
分の立場が苦しいことの表れと見るのが妥当かもしれません。

エネルギーといえば、中国は北朝鮮崩壊をにらんで、今さかんに北朝鮮を経済的
に取り込もうとしているようですが、その北朝鮮に送り続けている石油が途切れ
るというのも、中国の東北アジア戦略上かなり嫌なことにちがいありません。

そうなれば韓国念願のの北朝鮮への電力供給の出番なわけですから、韓国は中国
からピョンヤンに伸びる石油パイプラインが止まるのをクビを長くして待ってい
るはずです。

萩原＠グリフィス大学