2005.09.18 Palace of Arts, National Concert Hall (Budapest)
Sir Roger Norrington / Radio-Sinfonieorchester Stuttgart
Helene Grimaud (P-1), Anu Komsi (S-2)
1. Schumann: Piano Concerto in A minor
2. Mahler: Symphony No. 4

会場に行ってみると,ブラームスのP協第2番からシューマンに急きょ
プログラムが変更になっていました。演奏中に何度も咳をするなど,
見たところグリモーの体調は万全ではなかったので,それも理由の
一つかもしれません。とは言え,さすがに今売出し中の人気ピアニスト
だけあってテクニックはほぼ万全でした。美人で華奢なそのいでたち
からは想像つかない,ずいぶん硬質で男勝りのピアノを弾く人です。
多少雑に思えた部分もあったのは体調のせいでしょうか。

そのグリモーとは対照的に,オケはずいぶん女性比率が高く,コンサート
マスターもうら若き女性で,全体的にマイルドで柔らかい音色でした。
弦楽器がノンビブラートを基本としているのも要因でしょうか。演目が
マーラーだったので多少ふぬけた印象も禁じ得ませんでしたが,時々
オルガンが鳴っているのかと錯覚するような透明感と質感が新鮮でした。
ノリントンの解釈は想像通りテンポゆらしは最小限に止め,いろんな音が
クリアに聞こえてくるクールなものでしたが,全体的にはアンバランスな
演奏に思えました。ただ,終楽章のソプラノは表情豊かで非常に良かった
です。このマーラー4番は最後良ければ全て良し,みたいなところがあり
ますから,これはこれで結果オーライかもしれません。わたしはやっぱり
バーンスタインの熱いマーラーが好きだなあ。それにしてもノリントン
がマーラーにまでレパートリーを拡げるとは,何か隔世の感があります。

アンコールはハンガリー舞曲の5番,次いで1番,というサービスぶり。
聴衆大ウケ。ノリントンも「どうだ」と言わんばかりに見栄を切り,
最後はちょっとおちゃらけた雰囲気になってしまいました。

今回は隣りに座った超デブおやじが,寝ているわけでもないのに始終
「ぶひー」と音を立てて呼吸をしていて,参りました。息をするな,
と言うわけにもいかないし…。不運でした。マーラー終楽章で携帯鳴らす
阿呆がこの日もやっぱりいました。ブダペストの聴衆はもうちょっと
マナー向上してくれないものか,と毎回切に思います。

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はっしー@ぶだぺすと