おそらく、戦後の日本人は、日本が次に戦争するときもまた、大本営ができ
て、日本神道が支配して、天皇陛下万歳といって、富国強兵の軍国になって戦
争に進むものと思っていたはずだ。治安維持法が出来て、反戦家は特高が徹底
的に弾圧拷問して抹殺し、一糸乱れぬ国家観で軍先行の派兵が行われるもの
と。だが家こそ、その芽につながるものは一切あらかじめ摘み取ってしまおう
というのが、憲法9条を錦の御旗とした平和護憲派に大挙していたといっても
過言ではないだろう。

民社、公明・・・・と次々と社会党勢力は分断そぎ落とされ、ついに見るも無
残な社民党一桁代のしかも0から数えた方が早いという衆議院数に減った。
わが国に、つぎなる戦争への道が、当初描いていてた姿では起こりそうもない
ことも、非武装中立護憲平和の勢力衰退につながっていった面のあることは否
定できないと思う。

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戦争への派遣は突如としてやってきた。言葉のごまかしは不要。
戦場へと自衛隊を送り出す。戦場でないと言う名の戦場へ。ルビコン川を渡れ
ばエスカレートするのは目に見えている。死傷者も目に見えている。
戦死が名誉である空気を次には作り出してくるだろうか。戦前のように。そう
はならない。してやられた、そんな気が日本国民はしている。こんなはずでは
なかった。どこにも治安維持法がなく、特高警察がなく、憲兵がなく、それで
も、対テロのため、石油のため、国際貢献のためと大儀をつけて、思想もな
く、押し流されていく。こんな形での、派兵も起こりえたんだね。しかも70%
もの人が反対だといいながら、小泉君に投票する。日本国民はこんなにも馬鹿
になってしまったんだね。
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非武装中立という概念が、実現可能かどうかという、見事な論理のすり替えに
この国の論客は馬鹿正直にも正面からのみ防戦し、敗北した。非武装中立なん
ていうのは、実現可能かどうかなど問題ではなかったのだ。非武装中立の旗を
を左手にもって、右手で専守防衛の自衛隊という銃を持ち、他国の政略戦争に
は利用されないが、自国の防衛は自国の軍があるぞの形でやってきた、自民党
の戦後政治は、瓦解した。左手の旗が折れ、右手の銃が、バランスを失い、よ
ろけて右足を海外めがけて、踏み出したのだ。

三木首相は、自民党の何たるかを知っていた。独自にオイル交渉をアラブとし
た。バルカンの政治家は、すいも甘いも知っていた。だが、単細胞戦後政治家
には、この阿吽がわからない。自民党は、社会党という左の旗が折れたこと
で、自民党も死んだのだ。小泉君は、確かに自民党をぶっ潰した。左の旗から
抜け出て、右からの空気で回る風車と化した公明党の風を受け、かろうじて自
民は進んでいるが、政界は再編されるだろう。

自民党は死んだ。いや、今の保守勢力は、野党色を、(「社会党を倒したこと
で)自らがかぶる結果になった。この先、政党は、小泉君、山崎君らに代表さ
れる勢力は極右改憲政党へと進むだろう。民主党も割れて、同調者が出るだろ
う。石原君も後押しするだろう。かたや、極右にはなれない保守勢力が一派を
形勢するだろう。こうして左右日本の旗がそろったら、極右は加速する。バラ
ンスが保てる分、大いに加速する。だが、特高警察による思想取り締まりは不
要だ。それは日本国民が十分利口な連中であるときに必要だった。戦後6.3
.3制教育で骨抜きになった国民には、そんな思想警察は不要だ。必要なの
は、マスコミの巨大統合化である。マードック氏に代表される外資がまず朝日
を買収するだろう。谷村君やkaz君らの期待に沿って、巨大化、統合化は必
ずや実施されるだろう。思想とは、取り締まる以上に、誘導することがコスト
が安い。
さらに、抵抗が少ない。アメリカを見ればわかる。すでにアメリカでは、
ジャーナリズムは、死滅したのだ。国民は脳と目と耳を失ってしまった。

ジャーナリズムとは、反対勢力としての批判の風であり、この風を封印したア
メリカにはもはやジャーナリズムなどない。ジャーナリズムを封殺した自由の
国アメリカの自由はすでに死滅したのだ。十分馬鹿な国民は、主体的な選択の
出来ない環境で、極めて主体的選択をしているという錯覚だけが、充満してい
る。日本という国の予想もしなかった進路も、その後を追っていくのだろう
か。