Re: (中学と)高校の数学の良い教材
いいじまです。
Followup-to: fj.education.math に絞ります。
> 野口悠紀雄著「超勉強法」
> って読者を完全になめていますよね。
そうですか?
異論反論はありますけど、われわれが「正論」だと思っているものに対するひと
つのアンチテーゼだと思っています。数学教育や教育心理学関係の学会などでも
大きな論争があったと聞いています。
一緒に叩かれていたのが、そのものずばり『数学は暗記だ』という著書を出した
和田秀樹氏で、それに対して東大の大島先生あたりが反論して、お互いの主張点
を比べてみると……なんだ、中身は大して変わらないじゃん、ということになっ
たと記憶しています。(これはきちんと経過を追っていないのですが)。
> 学者がふつうの中学高校生向けの数論の本を書いてくれるとよいでしょうね。
> やさしくて、系統だっていて、しかも正確な本
ん〜、「系統だっていて」「正確」ということと「やさし」いということは、
よほど注意深くやらないと両立しないと思うんですよ。で、私が納得できるレベ
ルで成功している例は、私は知らないです。
理論屋さんに書かせると、系統性、正確性、例外的な事態に対する細かな言明、
といったことでごまかしたくないので、どうしても小難しくなる。
逆に、やさしく書こうとすると、正確性に関してはある程度まで省かざるを得な
くなる。私は数学屋ではないので数学の話はできないのですが、たとえばC言語
でいうと、最初の段階では、細かいことを省いて「printf を使うときには
#include<stdio.h> を書け」とか、「float 型は使用禁止、必ず double を使う
こと、実は double のほうが速い」とか教えておいて、あとから理由を説明して
いくことになります。そうしないと、実際にプログラムが書けるようになる前に
挫折してしまうから。
で、系統性に関しては、最初に定義なり公理なりを厳密に証明しようとすると、
その段階では学習者の頭の中には具体例が入っていないので、わかりにくいんで
す。人間の頭というものは、公理から演繹を繰り返して結論を得るよりは、具体
例から帰納的に考えることのほうが得意なようにできているんですよ。だから、
ある程度の具体例が揃った段階で系統的な話を持ってくるようにすると、すでに
頭の中にある具体例に当てはめて話の筋が追えるから納得できるし、そうなった
ら演繹的に具体例を増やすことができるので有益なんですが。
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飯嶋 浩光 / でるもんた・いいじま http://www.ht.sakura.ne.jp/~delmonta/
IIJIMA Hiromitsu, aka Delmonta mailto:delmonta@ht.sakura.ne.jp
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