現代倫理学入門__加藤尚武
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
この程度だと、中学生のうちに片付けておいてくれよ、という感
じの本です。今の大学生って自分にかまけすぎていて、こういう
視点にはなれないのかも。自分が、そんなに大切なら、むしろ、
こう言うところから始めるんじゃないかな。
世の中は物理法則に従って進んでいるわけだけど、じゃぁ、人間
が従って生きていくべき法則はあるのか? この本だと、そんな風
に倫理学を説いていきます。結局、功利主義や論理学的考察から
は何も出てこないという結論なわけだけど。そう言えば、吉田夏
彦先生も「哲学からは人生論は出て来ません」みたいなことを言
ってました。
でも、物理法則も理解できてないなら、倫理学も無理なんじゃな
いかと思う。力学の一つの基本原理は、
同じ状態からは同じ結果が得られる
だったりしますが、これに時間や空間、因果関係などの対称性を
考慮するだけで、かなりの部分の問題が解けます。
と言うわけなので、倫理学が、功利主義や普遍性から法則を導き
出せなくても、まったく結論が出せないというわけではない。
一方で、今の物理理論は量子力学だから、同じ結果と言うのは「
同じ確率分布」だったりする。
完全な平等やみんなが納得する分配というのはアローの定理があ
るので存在しないわけだけど、確率的な分布であれば、安定した
分配があるかも知れない。
この本には「人類に残された200年で人類は何をするのか」と言う
視点が欠けていると思う。「人はどう生きるべきか法則」は、か
なり任意で、それは力学系を決定するハミルトニアンに任意性が
あるのと同じ。それは、何をするべきかはわからない。
原発の危険性に関する議論で西部邁が「人類は単に生き残ればい
いのか?」みたいな問いかけを出していました。どうせ、200年な
らば、リスクがあっても原発を使って何が出来るかを考えた方が
良いと言う風に理解しましたが、廻りからは無視されてましたね。
まぁ、あんまり突き詰めて考えると、他の人達の道から外れしま
うので、どうかと思いますが、他の人ばかり見てても埋もれてし
まったことに嘆くことになるだけなので、一通りは考えておくの
が良いかな。
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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科
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