銀河帝国の崩壊 Against the fall night
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
この頃のクラークは良かった...
実家で発見しました。210ページで短いので、読み直してみました。
A.C.クラーク。創元推理で64年初版で77年の30版(200円)を持って
いるらしい。「やっぱり、持ってないとな」と思って買った記憶
があります。
Against だから、邦題は少し違うんだけどね。最初に読んだのは、
たぶん、72年なんじゃないかな。「銀河帝国の興亡」の方を先に
読んだので、かなり、がっかりした記憶がある。「終ってない」
ってのが当時の印象でしょう。「地球幼年期の終り」の方が良く
できてるし。
で、ベンフォードが「悠久の銀河帝国」Beyond the fall night
ってのを書くんだけど、まぁ、そっちは思い出したくないです。A.
C.クラーク自身も、リメイクの「都市と星」を書くわけだけど、
そっちの方が手に入りやすいかも。
でも、こっちの方が良いと思う。邦訳の問題か、少し説明不足的
な文章なんだけど、勢いがあるからね。77年に読み直したってこ
とは、その時には気に入っていたのだと思う。
アルビンが、閉鎖都市のダイアスパーから抜け出して、もう一つ
の都市を発見し、そこで、シャルミレンの遺跡で大人(たいじん)
に使えたロボットを発見して、銀河帝国が滅んだ理由と、その残
したものを発見する。謎解きがシンプルで良いです。「都市と星」
の方が捻ってあるが、こちらの方が好きかな。特に、ロボットの
セキュリティの破り方とか。
今、読み直すと、コンピュータが結構詳しい。ロボットに自己言
及を含む難しい命令を理解できるかどうかとか、連想機と呼ばれ
る「なんでも検索してくれる機械」と、それによって、ダイアス
パーの人々の記憶力が落ちたとか。
純粋知性とか狂った精神とかが面白い。リスの人々が自信持って
「自分達で成長を促進出来る」みたいないことを言うのは、当時
読んでもそれはないだろと思ってました。いきなり、大人の精神
を作ると「狂った精神」になっちゃうのは、そうだろうと思う。
子供の知性から始めたのは、それを防ぐためだよね。クラークが、
そのように考えたのかどうかは知りませんが。
終り方は、今でも納得できないかな。アルビンがダイアスパー/リ
スに残るのは不自然だと思う。「他を探しても無駄」ってのは、
なんか変。
---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735