Path: news.ccsf.jp!tomockey.ddo.jp!CALA-MUZIK!ie.u-ryukyu.ac.jp!not-for-mail From: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) Newsgroups: fj.sci.physics Subject: =?ISO-2022-JP?B?GyRCJVYlaSVDJS8lWyE8JWskSE5MO1JOTzNYGyhC?= Date: Thu, 4 Sep 2008 10:46:50 +0900 Organization: Information Engineering, University of the Ryukyus Lines: 66 Message-ID: <3993735news.pl@leo.ie.u-ryukyu.ac.jp> References: <668b89ea-0223-48cf-9fc7-071b97070160@a22g2000hsc.googlegroups.com> <88ff4607-9224-4a3d-809d-7727691daedd@59g2000hsb.googlegroups.com> <080418090646.M0148735@utogwpl.gssm.otsuka.tsukuba.ac.jp> <3993690news.pl@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp> <98720924-c28f-4584-ab85-3f16418d06cf@1g2000prg.googlegroups.com> <3a03c544-8951-4e4d-bbb4-9f933afeef80@p39g2000prm.googlegroups.com> <3993696news.pl@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp> <11bd3c10-777b-4583-85d9-b7821fa0edfb@f24g2000prh.googlegroups.com> <3993701news.pl@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp> NNTP-Posting-Host: naha.ie.u-ryukyu.ac.jp Mime-Version: 1.0 Content-Type: text/plain; charset="iso-2022-jp" Content-Transfer-Encoding: 7bit X-Trace: naha.ie.u-ryukyu.ac.jp 1220492870 9738 2001:2f8:1c:d048::850d:3006 (4 Sep 2008 01:47:50 GMT) X-Complaints-To: news-admin@ie.u-ryukyu.ac.jp NNTP-Posting-Date: Thu, 4 Sep 2008 01:47:50 +0000 (UTC) X-Image-URL: http://www.ie.u-ryukyu.ac.jp/~kono/skono.jpg Fcc: send X-Newsreader: news.pl 1.17 2005/05/10 01:26:04 Content-ID: <51564.1220492868.1@leo.cr.ie.u-ryukyu.ac.jp> Xref: news.ccsf.jp fj.sci.physics:1686 河野真治 @ 琉球大学情報工学です。 LHCとブラックホールにつっこんでるマイミクがいたりしましたが... 「相対性理論は間違っている」という「と」はたくさんいるが、 量子力学に突っ込む「と」があまりいないのは何故だなんて話が あったっけ。ブラックホールは相対性理論寄りの話で、LHCは量子 力学寄り。 量子力学自体は割りと簡単で、    Φ = H Φ' だけ。しかも、Φはベクトルで、Hは行列。行列のかけ算は高校生 でもわかる。Φ'が入力でΦが出力だと思っても良いし、Φ'が今 でΦが未来だと思っても良い。 Φが現実世界の状態なわけなんだけど、観測されるのは確率だけ。 (もはや、確立という字も辞書に載る日も近い気がする... テレビ でも良く見るし...) で、確率は、観測するものを行列Pで表して、    Φ・PΦ という式で計算するだけ。・は内積。中学生で習うんだっけ? <Φ |P|Φ> と書いたりもするけど、Φというベクトルと、PΦ (ベク トルにPという行列をかけた)ベクトルの内積を計算するだけ。こ れで、終り。これ以外に何もない。 確かに、簡単すぎて突っ込みにくいかも。あとはHとかPを現実世 界に合わせるだけだし。 面白いのは、量子力学の方程式自体には時間も空間も区別がない こと。時間と空間を最初からあるものとして議論する相対論とは 全然別なんだよね。なんか特別な形をしたPが空間の位置とかに相 当するだけ。 と言うわけなので、ブラックホールみたいな時空の大域的な構造 は素粒子レベルでは、あまり意味はないだろうと僕は思ってます。 ある現象を見て「ここから、ここまではブラックホールだった」 と想像することは出来るけど、直接観測は出来ないだろうってな 感じですね。 Wikipedia によると、ブラックホールに吸い込まれたものは特徴 がなくなってしまうので、情報が失われるんだが、これは、H の ユニタリ性(逆行列が必ず存在する(本当はHH* =1だが))に反する なんて話が載ってました。 その話は、熱力学の第二法則(熱が平均化する方向にしか物事は進 まない)に関しても同じなので、何をいまさらって感じ。なんだけ ど、ペンローズの「皇帝の新しい心」では、そこにいきなり突っ 込んで、第二法則とブラックホールが組になっているんだ見たい な話だったとかいうのを思い出しました。 場の量子論になると、また時空間をad-hocに導入して、Φ(x,y,z, t)みたいなことをするんだけど、計算するための便宜でしかない と思う。真空が変な振舞いをするのは、数学的点を勝手に導入し たからさ。 もっとも、計算できないけど、すっばらしく美しい物理理論って のは沢山ある。ディラック先生の高階偏微分方程式とか、ハイデ ルベルグの非線形宇宙方程式とか、紐理論とか... 結局、計算で きないとだめなので、「計算するための便宜」が重要。 --- Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus 河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科