河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <20030529213946cal@nn.iij4u.or.jp>, cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) writes
> 特に「なぜ著作権、それもTVの録画だけ?」って点。
> 「まず著作権、それもTVの録画だけ」というなら
> まだわからないでもないんだけど

何言いたいか良くわからん。わかった人、解説してくれない?

何故、テレビの録画を議論するかと言えば、それは、fjで「見損な
いました。誰か貸してください」ってのが連発されて、しかも、そ
れに根拠のない脅しをする人がいるから。

> 労力の割に得られるものがどれだけあるのかな……と。
> 後述の危険をふまえてなお。

「番組の見損ない」それは、今の再放送の少ないテレビの放送シス
テムとか、個人対象の許諾システムの欠如とか、情けないビデオの
UIとかが重なって起きている社会現象なわけだよね。それは権利者
側、消費者側、双方の不利益になっている。普通の人は、それを、
親しい友人からビデオを借りたりして解決するわけだ。ある意味で
合理的な補償行為だよね。

補償行為としてのビデオの貸し借り自体は、タイムシフトの妥当な
拡大(時間的機会の拡大から空間的機会への拡大)であって、*その
範囲*で法律が追認すべきものだし、実際、それは私的利用の範囲
内という解釈で十分なわけさ。それが、視聴率を上げたい番組を提
供する側と、番組を見たい側との双方の利益になるわけ。それが公
正利用ってわけ。

現実に、ビデオの貸し借りは存在し、個人に対する強力な取締り無
く十数年放置されているわけだよね。ビデオの課徴金が検討され見
送られたことは、「現状の追認」だと解釈されるべきだと思う。実
際、テープなどのメディアの販売と番組や楽曲の権利者は強く結び
付いていて、テープなどのメディアの使用制限をきつくすることは
権利者側も望んでいない。

君の無理無理な「私的利用に関わる親しい人は、その親しくなり方
に依存する理論」は、その公正利用を損ない、双方の利益を損なっ
ているだけ。そこには、処罰に値する違法性は存在しないのに、
何故、取り締まる必要があるわけ?

いったい何のために著作権法があるかを理解してないから、そうい
うことになるのさ。君の議論が、著作権法の最初にある目的にどの
ようにつながるのか説明してくれるなら、もう少し納得できるかも
知れないけど。

> >現行著作権法の通説的理解を解説し、かつそれへの批判
> >あるいは現状の著作権者側の対応への批判を含んだ、
> >よいものが示せればと思っているのですが。
> 結局それって著作権法の解説本を1冊増やそう計画になっちゃうでしょ。

僕達は、fj なりインターネットなりで、著作に対する態度なりシ
ステムなりを提供することによって、著作権法の解説の1ページを
作り上げていっているわけさ。実際、fj の記事と言う著作物
の取り扱い方は、過去に類似したものは存在しないわけだから。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus, 
              PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科, 
           科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)