Path: ccsf.homeunix.org!ccsf.homeunix.org!news1.wakwak.com!nf1.xephion.ne.jp!onion.ish.org!news.heimat.gr.jp!news.tutrp.tut.ac.jp!news.cc.tut.ac.jp!nfeed.gw.nagoya-u.ac.jp!news-sv.sinet!newsfeed.mesh.ad.jp!t-newsgw1.odn.ne.jp!nwall.odn.ne.jp!not-for-mail From: cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) Newsgroups: fj.soc.law,fj.soc.traffic.manners Subject: Re: =?ISO-2022-JP?B?GyRCRjtPKThyRExLITJ+QDUhShsoQiBSZTobJEJJShsoQg==?= =?ISO-2022-JP?B?GyRCJE4kSiQkMT9FPiFLGyhC?= Date: Sun, 19 Dec 2004 10:43:47 +0900 Organization: cal personal Lines: 108 Message-ID: <20041219104347cal@nn.iij4u.or.jp> References: <20041218001847cal@nn.iij4u.or.jp> NNTP-Posting-Host: eatcf-363p227.ppp15.odn.ne.jp Mime-Version: 1.0 Content-Type: Text/Plain; charset=ISO-2022-JP X-Trace: nwall1.odn.ne.jp 1103423255 93348 211.131.104.227 (19 Dec 2004 02:27:35 GMT) X-Complaints-To: news@odn.ad.jp NNTP-Posting-Date: Sun, 19 Dec 2004 02:27:35 +0000 (UTC) X-Posting-Software: WSNews 2.027 Xref: ccsf.homeunix.org fj.soc.law:2226 fj.soc.traffic.manners:50 佐々木将人@函館 です。 法解釈を行う際には「なぜ」を考える必要もあります。 また言葉の用法を厳密に検討しておく必要もあります。 >From:"Hattori Yasushi" >Date:2004/12/18 18:40:44 JST >Message-ID: > >> 野下文生著道路交通執務研究会編著 >> 「執務資料道路交通法解説」 >P212にある第19条の説明からの抜粋です。 >『並進とは,文字通り2台以上の車両が同一の速度で並んで同一方向に進行 >することをいう。したがって,追越し(追抜き)の過程において,追越し( >追抜き)をしようとする車両が追越し(追抜き)のために必要な時間他の車 >両と並ぶことは,本条でいう並進とはならないと解される』 なぜ野下先生はこういう解説を書かなければならなかったか? (実は詳解道路交通法は書いていない。) 仮にこの解説を書かなかった場合 当然に追い越しや追い抜きの過程で並進が行われる以上 軽車両の追い越しや追い抜きが19条1項で禁止されるという解釈が 出てくる可能性があります。 その解釈は どこかで軽車両の追い越しや追い抜きを認めた条項があれば それが特別規定として優先することとなって 否定することが可能となりますが、 それでも解釈が分かれる以上、 そこを明確にしておこうとする解説があっても ちっとも不思議ではありません。 (そして今のところざっと見ただけですが  追い抜きを明文で認めた条項はなさそうです。  一般的原理的にはなさそうですし。) だからこそ「本条でいう」という語がある訳です。 もし 「追い越しや追い抜きに並進は含まれない」というなら こんな解説を加える必要はないのですし 解釈の分かれがある可能性を理由に書き加えるなら 「本条でいう」などという限定詞をつける必要が全くありません。 ※「左側に寄って」と「左側端に寄って」が同じなら  こんな書き分けをする必要がないのと一緒です。 原理としては私が前の投稿で書いた上級者向けの解説 > 実を言うと「並進」に「車両通行帯を異にすれば並進ではない」という > 意味を持たせている場合には > 当然のことながら並進をともなわない追い抜きや追い越しがあり得ます。 の例と全く同様です。 19条1項や2項の解釈として「並進」が除外される場合がありますが その場合には > しかしこの意味で使用する場合には > 「車両通行帯を同じくする場合及び車両通行帯がない場合」 > には、追い越しや追い抜きには必ず並進を伴うことを > 確実に理解してなければなりません。 な訳です。 振り返ってみると >> 野下文生著道路交通執務研究会編著 >> 「執務資料道路交通法解説」 >P212にある第19条の説明からの抜粋です。 >『並進とは,文字通り2台以上の車両が同一の速度で並んで同一方向に進行 >することをいう。したがって,追越し(追抜き)の過程において,追越し( >追抜き)をしようとする車両が追越し(追抜き)のために必要な時間他の車 >両と並ぶことは,本条でいう並進とはならないと解される』 という文献を見た瞬間 「「本条でいう」とある以上、本条以外では「並進」になるかもしれない」 くらいのことは考えなきゃいけません。 (本当は「一般的には「並進」になる。19条の関係で外れるだけ。」  という正解にすぐたどりついてほしいものなのですが。) しかしその疑問を持つことなく 「法律での並進って意味が違うんじゃないという疑問」と言いながら 法律の並進という意味を 「本条で言う」という語の存在を全く無視して 「法律での並進の意味は違う」という結論に達し >やっぱり,並進は,この場合関係ないんじゃない? という主張に至るのであれば 冒頭の 「法解釈を行う際には「なぜ」を考える必要もあります。  また言葉の用法を厳密に検討しておく必要もあります。」 などという、法解釈の基本技法をまず学ぶ必要があります。 そのような技法は道路交通法のような特別法の場合には その文献はこのような基本技法は身に付いているという前提で書かれている以上 特別法の文献をいくら見たって身に付くものではありません。 (それでもセンスのある人ならわかっちゃうのですが……。) まず法学入門だとか法学概説だとか民法だとか刑法だとか そういう基本をきちんとおさえない限り 道路交通法のような特別法の解釈に手を出すべきではありません。 出したところで妙な主張をするのがおちです。 この基本の中には、実は法学入門とかには書いてませんが 「読む際に疑問を持つこと、  そしてその疑問にも疑問を持つこと」 は含まれます。 これは法学に限定されない話なので法学入門には書いていないのでしょう。 ---------------------------------------------------------------------- Talk lisp at Tea room Lisp.gc . cal@nn.iij4u.or.jp 佐々木将人 (This address is for NetNews.) ---------------------------------------------------------------------- ルフィミア「今年の秋休みは1週間に短縮ですって?」 まさと「11月にもう1回とるからいいもん……(泣)」