佐々木将人@函館 です。

>From:Yoshitaka Ikeda <ikeda@4bn.ne.jp>
>Date:2004/01/18 20:45:26 JST
>Message-ID:<budrk4$5tp$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>
>
>なんといいますか、RMSのFreeware思想の結実としてのGPLという側面で
>捕らえていたわけです。でも、この箇条書きの2項目を考えると、
>創作性はないから著作物性はないと考えてもよさそうですね。

ですね。

>ところで、オリジナル契約書が英語の場合に、その日本語文書についても
>同じ考え方を援用できるでしょうか?

考え方は援用していいと思います。

詳しく分析しますと
外国語の文書というものはえてして外国で書かれる訳です。
そうしますと本当は
「当該外国における著作権の保護」
「日本における著作権の保護」
とに問題をわけなければなりません。
というのは前者についての基準は当該外国の著作権法であり
後者については日本の著作権法です。
ですからぎりぎり言うと
ディケンズの「ニ都物語」を例にすれば
イギリスにおいて英語版のオリジナルがどう扱われるか
そしてその日本語訳はどう扱われるかについては
イギリスの著作権法の問題ですし
日本において英語版のオリジナルがどう扱われるか
そしてその日本語訳はどう扱われるかについては
日本の著作権法の問題なんで
別の国の法律の問題を一緒に論ずる訳にはいきません。

ただ日本法に限定すれば同じ考え方で全然問題がないですし
こと著作物にあたるかどうかの基準については
そんなに変な規定になっているはずがないので
まあ援用していいだろうということになります。

その上で日本の著作権法で言うなら
ある外国語で書かれた作品と
それを日本語に訳した作品とがあった場合に
外国語で書かれた作品の著作物性について
・著作権法はアイデアを保護するものではない。表現を保護するものである。
・内容を表現する時に誰もが同じような表現をとるならそこに創作性はない。
というチェックが入り
日本語に訳した作品についても同様のチェックが入った結果
「外国語作品には著作物性が否定されるが
 日本語作品には著作物性が認められる」
こともあり得ますし
外国の文学作品に複数の日本語訳ができてそれぞれ著作物性が認められることは
むしろよくあることでしょう。
また外国語作品に著作物性が認められるけど
それを訳したものに著作物性が否定されてしまうこともあり得ます。

で、ここまでくどくど書きましたが
それは次の問題への解答の伏線だと思いねえ。

>ついでに、一個話がずれますが、オリジナルが著作物であったとして、著作権
>保護期間が完了してしまっている場合、その翻訳物の著作権は、
>・オリジナルに従い著作権保護はされない
>・翻訳の日付によって独自の著作権保護期間が存在する
>のでしょうか。(これはマニュアルとは関係ない話ですが)

オリジナルの国の著作権法ではどうか、日本の著作権法ではどうか
という問題があるし
日本の著作権法だとオリジナルとその翻訳とでは
著作物としては別物だと考えられていることをおさえなきゃいけないのです。
そうすると日本法に限って言うと
「翻訳が著作物であると考える」だけのことなのです。

----------------------------------------------------------------------
Talk lisp at Tea room Lisp.gc .
cal@nn.iij4u.or.jp  佐々木将人
(This address is for NetNews.)
----------------------------------------------------------------------
ルフィミア「まさと先輩、今年もよろしくお願いします。」
まさと「振袖着れるようになったの?」ルフィミア「はい。勉強しました。」