佐々木将人@函館 です。

ある程度は長島さんへのフォローで書きましたが……。

>From:"Miyasun" <miyasun@mtj.biglobe.ne.jp>
>Date:2003/07/21 22:27:38 JST
>Message-ID:<bfgp5c$bl1$1@cala.muzik.gr.jp>
>
>これは上記での「間違えるのは仕方ない」という状況での偽証
>とは違うと思います。

違うというのはそのとおり。
そこで考えなきゃいけないのは実は「嘘をつく」という言葉の意味で
「嘘をつく=偽証」では全然ないということをおさえなきゃいけない……。

まず偽証罪というのは既に述べたとおり
「自分の記憶に反することを反すると知っていながらあえて言う」
時に成立するし
より正確に言うなら「誰がどんなシチュエーションで」言ったかというのも
構成要件に書かれているものなんです。

そして「嘘をつく」というのはもっと広範囲に使われていませんか?
事実と異なることを言えばそれで嘘を言ったことになりませんか?
ずいぶん昔宮沢首相が退任する直前、
ある発言をしてそれが嘘だということになった
確か数週間前の経済の予測についての発言だったはず。
でもその時の宮沢首相の弁解は
「嘘を言いたくて言った訳ではない」
……以来私はこの種のロジックを
  「宮沢プロブレム」と呼ぶことにしているけど……。
でもこれある意味「嘘」に分類するのがかわいそう……。
極論すると占い師が占いを外した時にも「嘘をついた」って言うんじゃない?

法解釈学の分野では学説の分かれがあるものの
通説判例における偽証罪の成否の要件はきちんと定型化されているし
偽証という言葉もこれまた定型化されています。
(法廷等において事実に反することを反すると知りながら
 ことさらに述べる行為)
だけど一般社会でそういう定義で使っているのかはなはだ疑問だし
嘘をつくという表現に変えるとよりいっそう曖昧になるんじゃないか?

たとえば事実に反することを言う場合というのは
実はいくつかの種類があるのです。
0 そもそも事実が複数ある
 先のおねいちゃんの例は実はこれなんです。
 彼女が体験したその色は緑であってそれが事実。
 厳格に言うと彼女を基準にすると事実に反していることは言ってない。
1 本人の記憶が既に事実に反している
 記憶って時間とともに変化しますからね〜。
 私自身5年前の投稿を引き出すのに「ナーバスブレイクダウン」では
 全然ひかからないで
 いろいろ変えてみてひっかかった投稿を見てみたら
 「なあばすぶれいくだうん」って表記なんだもんなあ……。
 刑事コロンボにも同じテーマのやつがあった。
2 本人の記憶は事実のとおりなんだけど
  本人がそれを事実ではないと勘違いして
  事実(だと本人が思うこと)にあわせて修正するが
  修正の結果事実に反する
 先のおねえちゃんの例だと
 太陽の光のまぶしさで違って見えたことを想定して
 自分の記憶である緑を修正して「白」と言っちゃう場合です。
3 本人の記憶は事実のとおりだけど
  事実と違うことを言ってやろうと思って事実とは違うことを言う
 
そしてこの中で日本で偽証罪が成立するのは2と3。
(2については若干異論があるけど。)
そして偽証罪の立証をするためには検察官が
「その人の記憶はAであった」ってことまで証明しなきゃいけないんです。
……これが難しいのはわかるでしょ?

>いえ、単なる比較としての数値で、『日本はあまり偽証罪は告訴
>しなから実際には年間500件あってもおかしくないなぁ』的な話で
>もあるのか、と思ったわけです。

結局それって厳密さを欠く議論になっちゃうんですよ。
少なくても民事の判決で
「何某の証言は信用できない」と書かれちゃう数は
偽証罪で処罰される数より段違いに多いでしょうけど。
でも数値化は無理。
信用できない理由が上の2・3であって0・1ではないことまで
民事の判決で書く必要は全くなく
「信用できない」とだけ書けばいい
信用できない理由まで書いてあれば文句なし。

>はい。ピッタシカンカンです。(古

今ならぴったんこかんかんね。(笑)

>> ……他人の記憶とその証言内容を照らし合わせる客観的な方法ってあるの?
>
>少なくとも韓国では年間1000件が偽証罪で起訴されてるわけで…

まず韓国の偽証罪の要件を調べないとだめでしょうね。
しかも重要なことを見逃しているんだけど
偽証罪の事案が全部偽証罪で起訴されたかどうかという点で
日本と同じパーセンテージだという推測は全然根拠無し。

そうなるとトータルで考えた時に
法廷で上の3のパターンがどれだけ見られるかということが
必要な数字だということはわかるものの
それは実は正しい算出が難しいのだというのは既に書いたとおりだし
求めたところで何か有益な情報が得られるかというと
少なくとも大元の話題との関係では私は懐疑的なんだな。

># 余談ですが陪審員制もそういう部分があるみたいですね。

あります。
アメリカで陪審裁判を選択するのは
究極的には「職業裁判官はもっと信用できない」という話ですし。

># なんか、日本でも陪審員法が復活するそうで?

正確に言うと「裁判員制度」の新設であって
陪審制の復活じゃないです。
というのは陪審制というのは事実問題に限定して
有罪無罪のみを答申する(有罪の場合の量刑は裁判官の仕事)けど
裁判員は事実問題に限定される訳ではなく
すべてに関与するのです。

>なんか最初のうちは大変な事になりそうな予感…

あたし冤罪が出ると思いますよ。
なんたってアメリカですら「12人の怒れる男」が作られるくらいで。
ただよほどの事件じゃないと裁判員制度の対象外なのが救い。

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