佐々木将人@函館 です。

>From:Takashi YOSHIMI <tak-yoshimi@rio.odn.ne.jp>
>Date:2003/06/27 01:19:53 JST
>Message-ID:<bdf6f9$ld9$1@nwall2.odn.ne.jp>
>
>昔私が受けた(最近はどうだかしらないけど)国家公務員試験の最後の方に
>は、知能テストというかパズルというか、それに近い問題が載っていました。
>知識はまったく必要ありません(正確には思考の道筋をどうつけるか、と
>いうレベルの知識はいるけど)。

いわゆる数的推理ですな。
あたし大得意。

>このような問題の場合、問題の作成者にはパ
>ズルの作家とほとんど同じ程度の著作権は認められるべきだと個人的には思い
>ます。

著作物性が認められる限りで同意。

>では、その中間はどうか。知識が必要で(7)それがあれば少しの思考(3)
>で解ける問題、ちょこっと知識が必要で(3)だいぶ考えないと(7)解けな
>い問題とかはその間に連続的にあると思うのですが。

結局著作物として認められるかどうかの判断に落ちてしまいます。

>また、解答はどうなるのでしょう。普通、公的な試験では主催者側(おそらく
>問題の著作権者)は解答は発表しないことが多くあります。

ちなみにこれは去年あたり国家試験にはあてはまらなくなっています。
原則公開。

>つまり解答はどこ
>でも発表されたことはないのですが、能力のある人ならば問題から導くことが
>できます。この場合、解答は問題の内容に全面的に依存しているということで
>二次著作物として問題文の著作者の権利が及ぶのでしょうか。

これも同様で著作物として認められるかどうかの判断に落ちます。

著作物性の具体的判断については
平成8年4月26日高松高裁判決(判例タイムズ926号p207)が
一番参考になると思います。
「著作物というためにはその表現自体に
 何らかの著作者の独自の個性が現われていなくてはならないと解すべき」
という基準ですね。
もしこれが曖昧模糊としてよくわからないのであれば
田村先生の
「誰が書いても同じようになるならそこに創作性はない」
で切り分けていけばいいでしょう。

「日本が国際連合に加盟した年は何年か?」という問題に著作権不成立なのは
この知識を問うための表現としては
これ以外のバリエーションがあまりない
(せいぜい語順を変えるだけ。)という点ですし
回答に著作権不成立なのはこれまたバリエーションがない。
解説もよほど凝らないと他の人でも書けそうな解説にしかならない。

>このような試験問題は、一種の暗号とみなせると思います。鍵(知識なり思考
>能力)があれば復号化できるわけです。鍵が違っているとまったく復号化でき
>なかったり正しい復号結果と良く似ているが違う結果になったりします。
>
>もしそうみなすことができるのなら、解答編の著作権の問題は、一般的に暗号
>で発表された著作物について、復号化された内容の著作権の問題になると思い
>ます。このような著作物の権利は存在するのでしょうか。

外国語の文献は一種の暗号とみなせますし
暗号で発表された著作物について復号化されたものについての
著作権の問題と言えそうですが
そんなまわりくどいことは考えていません。
日本の著作権法なら27条で翻訳の権利が端的に原著作者に与えられています。

それに問題にある操作を加えればある程度自動的に求められる解説なら
そのことでその解説には創作性がないのですから著作権は否定されます。
暗号にたとえられるようなものなら
そのことによって著作物性は否定されるのです。

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