ご回答大変有難うございます。

>> 集合論の公理(外延性の公理,空集合の公理,対の公理,合併の公理,無限集合の公理,
>> 冪集合の公理,置換公理,正則性の公理,選択公理)
>> を使わずに何の公理を使うのでしょうか?
> だから, 集合論の公理は使わず, 議論するものを set とは
> 仮定しないわけです.

ZFC公理系は集合に関する公理だとするなら圏はどのような公理を使うのですか?
それとも圏には公理というものは存在しないのでしょうか?

>> メタ圏とメタグラフって何なのでしょうか?
> 議論するものが集合論の範疇に収まるものであろうとなかろうと,

この範疇の事を"領域"そして領域に無矛盾な公理系が存在する時,"数学的体系"と呼ぶのですね。
あと,領域にも空領域はあるのでしょうか?

> 与えられた公理を満足するものがあれば, そういう呼び名をつける,
> ということです.

つまり,領域(何らかの集まり)が各分野(集合論や幾何学)にての公理系を満足するならその領域は「何々公理系の数学的体系をなす」と言ったりするので
しょうか?
例えば,或る領域がZFC公理系を満たす領域ならその領域は集合の数学的体系と呼ばれる。。みたいに表現するのでしょうか?

メタグラフは数学的体系の一種なのですね。
そしてメタ圏はメタグラフの一種なのですね。

>> 対象や射は無定義語と聞いたのですが, 無定義語の定義は
>> 「定義を持たないものらしいもの」らしいのですが
>> 定義を持たない語が定義とはどういう意味なのでしょうか?
> metagraph における object や arrow は
> 「各 arrow には domain と呼ばれる object が定まる」とか

arrow(やmorphism)やdomainは集合での対応や始集合に相当する概念ですね。
Mor(何々)と表記されたのを見かけた事があるのですがこれは"何々"のarrow全体の数学的体系を表しているのですね。

> 「各 arrow には codomain と呼ばれる object が定まる」といった
> 公理によってその性質が定まるものです.

ZFC公理系ではcodomainは終集合に相当するのですね。
よって公理系が与えられた数学的体系をA,BとするとA×Bの対象(a,b)=:fをarrowと呼び,
aをfのdomain,bをfのcodomainと呼び,a=domf,b=codfと表記するのですね。
(ただここでA×Bは何かと言われると集合での直積に相当するものとしか答えようが無いのですが)

> それ自身についての定義は無く, それらの間の関係についての
> 公理からその性質が定まるようなもののことを, 普通,
> 無定義語と呼んでいます.

難しいんですね。category,object,metagraph,metacategory,arrowらは無矛盾な公理系が与えられてうるよう
な集まりというのが定義(?)という事になりましょうか?

>> 以下は何とか自力で解釈に努めました。
>> 対象は何かのものの集まりだと解釈しました。
> そう思っておけば十分でしょう.

了解いたしました。

>> 集合は集合全体の集合とかは矛盾をはらむので
> sets の全体は set にはなりませんが,

そうですね。これはパラドクスになりますね。

>> 集合を厳密に定義する事は不可能なのですよね。
> set には集合論での公理による厳密な定義があります.

外延性公理,
空集合の公理,
対の公理,
合併集合の公理,
無限集合の公理,
べき集合の公理,
置換公理,
正則性の公理,
選択公理

ですね。でも最初の外延性の公理は
「一方の集合の任意の元が他方の集合の元に含まれ,他方の集合の任意の元がもとの集合に含まれる」
というものですよね。
ここで"集合"と"含まれる"の定義がなされていませんがどのように定義してあるのでしょうか?

>> 集合全体の集合とか,位相全体の集合とか群全体の集合とかは
> 集合全体とか, 位相空間全体とか, 群全体とか, ですね.

はい。

>> 何の本で"領域"と呼ぶと以前見かけた事があります。
> class ですね.

はい。そうです。

>> よってここでの対象の集まりは領域の事かとも解釈いたしました。
> 議論で現れるものが set でなくても, つまり,
> object や arrow が set でなくても, 又,
> objects の全体が set になっていなくても,
> arrows の全体が set になっていなくても,
> 以下での公理を満足するようなものであれば,
> 扱おうという話です.

うーんとここはつまり,何らかの集まり(object)や集まりの直積(arrow)が矛盾の無い公理系を持つならばこの集まりを数学的体系と呼びま
しょうという事ですね。

>> そして,対象が集合に相当する概念?
>> よって対象の集まりを領域と言い,Ob(P)と表す(ここでのPは何かの条件を表す)
> まあそう考えるのが分かりやすければそれで良いと思いますが,
> 要は, ある metacategory C の object というものが
> 議論するものとして了解できるものであれば,
> それで十分です.

了解いたしました。
ちなみにZFC公理系を持つ圏は集合のメタ圏と呼ぶのですね。

>> Ob(P)と表記したら,Pと言う条件を満たす対象ならなる領域。
>> そしてOb(P)={a,b,c,…}とかOb(P)={a;P(x)}で表す事ができる。
>> 対象aが領域Ob(P)の一部の時,a∈Ob(P)と表記する。
> そういう表記は議論するものが set であるかのような
> 誤解を与える恐れがありますから, text ではわざと
> 避けてありますね.

えっ? どういうことでしょうか?
射や対象において,等号「=」や合成写像「○」という集合の記号が使われてますよね。

>> Ob(P)=Ob(P)は∀x∈Ob(P)に対し,x∈Ob(P)
>> そして,∀x∈Ob(P)に対し,x∈Ob(P)になっている事と定義できるのだと思います。
>>
> これは意味不明です.

等号の定義をしたつもりだったのですが,外延性公理は集合においての公理でしたね。

今,ここでの領域は何の公理を持っているか分からないので等号は定義不可能なのですね。

>> 2つの領域Ob(P)とOb(Q)が在ったとすると,a∈Ob(P),b∈Ob(Q)に対し,
>> 対領域,a×bを射(morphism)と呼び,
>> aとbの射の集まり(つまり,そのような射の領域)をMor(a,b)と表す。
> これは何か誤解があるようですね.

すいません。

> どうして二つの領域を考えるのでしょう.

領域に於いて等号を定義したかったのです。

> 「a×bを射」というのも意味不明です.

a,bが集合なら対応はa×bの部分集合と考えられますよね。
それで射を対応と捉えて対象a,bの直積a×bを射と言ってしまいました。

>> f∈Mor(a,b)とすると,
> arrow f について, dom f = a, codom f = b は,
> 公理から, 決まるので, f は f: a → b とも書かれますが,

すいません。公理から決まるとはどういう意味でしょうか?

> metacategory では
> object a を domain とし, object b を codomain とする
> arrow f の全体が set になるとは仮定しないので,
> 誤解を避けて, text ではそういう記法を使っていないようですね.

そういう記法とは「f:a→b」という風な記法の事でしょうか?

>> a∈Ob(P),b∈Ob(Q),c∈Ob(R)の時,f∈Mor(a,b),g∈Mor(b,c),h∈Mor(a,c)とする。
>> domh=aでcodh=cの時,fg=hと表し,合成射と呼ぶ。
> ここも Ob(P), Ob(Q), Ob(R) となっているのは
> 誤解があるようです.

本当はOb(P)は領域であって集合ではないので「∈」という記号は使えないのですよね。

もしかして,a,b,c∈Ob(P)でなければならないのでしょうか?

> 又, dom f = codom g のとき
> f○g が定義できて,

これはそうですね。ここでの○も本来は集合での記号ですが分かりやすいように数学的体系でも使用されているのですね。

> それを h とすれば
> dom h = dom g, codom h = codom f となるのです.

これが合成射の定義なのですね。これは写像と照らし合わせても上手くいってますね。

> 順序・向きには注意しましょう.

了解いたしました。

>> ∀f∈Mor(a,b)に対し,fg=f 且つ,gf=fなるg∈Mor(a,a)が一意的に存在する。

ここでも本来なら「∈」という記号は使えないのですね。
Mor(a,b)はaからbへの射全体の数学的体系と言うのですね。

>> このgを恒等射と呼ぶ。
> 各 object a について, arrow 1_a があって,

この1_aはdom1_a=codom1_a=aなのですね。

> arrow f について dom f = a であれば, f○1_a = f であり,

domf=codom1_a=aなので合成射の定義からf○1_a = f と言えるのですね。
この時,1_aはaでの右恒等射とか言うのですかね。

> arrow g について codom g = a であれば, 1_a○g = g です.
> 左右で話が違いますから, 注意しましょう.

はい、この時,1_aはaでの左恒等射と言うのですかね。
1_aがaについて右恒等射でもあり,左恒等射でも或る時,1_aはaでの恒等射というのですね。

>> そして,対象a,b,cと射の領域Mor(A,B),Mor(B,C),Mor(A,C),Mor(A,A),Mor(B,C)を
>> 圏と呼ぶ。
> どうも誤解があるような気がします.

すいません。領域,数学的体系,圏とmeta圏とmetagraphがどんな位置関係にあるのかいまいち把握できずにいました。
対象の集まりで無矛盾な公理系を持つものをmetagraphと言い,恒等射と合成射を持つmetagraphをmeta圏。

> text では category というと, 議論するものが sets で
> 公理を満たすものになっているもののことです.

なるほど。対象が集合のmeta圏を圏というのですね。

> category C には objects の全体の set O と

つまり,CをZFCで定義されたmeta圏とするのですね。

> arrows の全体の set A が定まっていて,

A:=Mor(a,b) (但し,a,b∈O)となっているのですね。

> 二つの写像 dom: A → O と cod: A → O があり,

domA={a}⊂O, codA={b}⊂Oという風にdomとcodの像がOに含まれるので
dom: A → O と cod: A → Oになっていますね。

> (各 object に恒等写像を対応させる)写像 id: O → A があり,

これは∀x∈Oに対して,id(x):=i_x∈A:=Mor(a,b)となっているのですよね。
i_xは具体的にどんな恒等写像なのでしょうか?
もしa∩b=φならMor(a,b)は恒等写像を持ちませんね。

> 合成可能な arrows の pair の set を A ×_O A で表すと
> ( A ×_O A = { (f, g) ∈ A×A | dom(f) = cod(g) } です)

これは分かります。もしA:=Mor(a,b) (但し,a,b∈Oでa∩b=φ)ならA×_O A=φですよね。

> 写像 ○: A ×_O A → A があり,
> (写像の像を ○ での二項演算として表します)

これは分かります。

> a ∈ O について dom(id(a)) = a, cod(id(a)) = a であり,

ここでのidはid∈Mor(x,y) (但し,a⊂x⊂y,x,y∈O)となっていないといけませんよね。

> (f, g) ∈ A ×_O A について, dom(f○g) = dom(g),
> cod(f○g) = cod(f) であり,

これは当たり前ですね。

> f, g, h ∈ A について, dom(f) = cod(g), dom(g) = cod(h) のとき,
> f○(g○h) = (f○g)○h であり,

これもそうですね。

> f ∈ A について, f○id(dom(f)) = f であり,
> id(cod(f))○f = f である, わけです.

f=(a,b)に於いて,a⊂bならそのように言えますね
(∵a⊂bでないならid(dom(f))が存在しない)。

> O = Ob(C) と書くこともあるでしょうが, この text では
> わざわざ O とも書かないで C そのものをつかい,
> a が C の object である, というのを a ∈ C とする,
> と断ってあります.

CはZFC公理系のmeta圏(つまり,Cは圏)ですから,object aは集合を表すのですね。
そしてmeta圏Cが圏の時,Mor(a,b)はhom(a,b)と表記すると書いてありますね。

> 又, わざわざ A とも書かないで, f ∈ A のことを
> f in C とする, と断ってあります.

圏Cに於いてはc∈Cではcは集合を表し,f in Cはf∈hom(a,b) (但し,a,b∈C)を表すのですね。

> 更に, { f ∈ A | dom(f) = a, cod(f) = b } のことを
> (Mor(a, b) でなく) hom(a, b) と表記しています.

そうですね。

>> と以上のように解釈してみたのですが…
>> かなり勘違いしてますでしょうか?
> category を理解すれば, 差し当たって宜しいのではないかと
> 思います. metacategory は set であることを落とすのです.

"落とす"とはどういう意味でしょうか?

> なお, metacategory のことを category とし,
> この text での category のことを small category とするのが
> 普通だろうと思います.

small categoryという言葉があるのですね。

纏めるとcategory(又はsmall category)の定義は
「metacategory Oはcategory(又はsmall category)
⇔(def)
OはZFC公理系で定義された数学的体系で
合成写像を2項演算子として半群をなし,左単位元(左恒等写像)と右単位元(右恒等写像)を持つ」
ですね。
ZFC公理系が保障されているのなら,A×_O Aや左恒等写像や右恒等写像は自動的に存在すると思うのですが…。
なので
「metacategory Oはcategory(又はsmall category)
⇔(def)
OはZFC公理系で定義された数学的体系である」
という定義でもいいような気がするのですが勘違いしてますでしょうか?