工繊大の塚本と申します.

In article <ju4qg9$ja0$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 素朴な疑問か分かりませんが
> なんで主値やリーマン面という概念を考えるのかがよくわかりません。
> f∈Map(C〓{0},C);C∋∀x+yi→f(x+yi):=(x+yi)^{1/2}は
> ±(((√(x^2+y^2))^{1/2}cos((cos^-1x/√(x^2+y^2))/2)
>   +i√(x^2+y^2))^{1/2}sin((cos^-1x/√(x^2+y^2))/2))
> と二つの値を取るので,fは対応であって写像ではないですがこのfを
> f∈Map(C〓{0},2^C);C∋∀x+yi→f(x+yi):=
>   {±(((√(x^2+y^2))^{1/2}cos((cos^-1x/√(x^2+y^2))/2)
>      +i√(x^2+y^2))^{1/2}sin((cos^-1x/√(x^2+y^2))/2))}
> という風に像がCの部分集合と考えればfは写像になりますよね。
> そこで主値やリーマン面という概念が無いと何が困るのでしょうか?

部分集合を値にとる写像についての正則性の定義などはどうされますか.
それについての Cauchy の積分定理などはどうなりますか.
 
> 単に写像になるようにしたいのであればfは
> f∈Map(((C〓{0})×{0})∪({0}×(C〓{0})),C);
> f(x+yi,0):=+(((\xE2^H^Z\xA8x^2+y^2))^{1/2}cos((cos^-1
> x/√(x^2+y^2))/2)+i√(x^2+y^2))^{1/2}sin((cos^-1 x/√(x^2+y^2))/2))
> f(0,x+yi):=-(((\xE2^H^Z\xA8x^2+y^2))^{1/2}cos((cos^-1
> x/√(x^2+y^2))/2)+i√(x^2+y^2))^{1/2}sin((cos^-1 x/√(x^2+y^2))/2))
> と定義すればいいのではないでしょうか。
> これだとfは写像(1価関数)になりますよね?

もう一つの貴方の大きな間違いは, cos^{-1} を一価関数と考えたいときは
どのような領域で考えないといけないかを忘れていることです.

> とりあえず
> 
> http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E9%9D%A2
> の定義にて(X,A)をリーマン面と呼ぶ事は何となく分かりました。

 Wikipedia で物事が解ったような気になるのは危険なことです.
 
> つまり,
> [定義] 位相空間(X,T)をHausdorff空間とし、U∈T,D⊂(C,S)
> (但し,Sは複素数体Cの通常位相)とすると
> UとDは夫々XとCの位相部分空間となる。この時,UとD間に同相写像が存在する。
> この同相写像をUとDのchartという。

何を定義しようとしているつもりでしょうか.
 
> [定義] (X,T)をHausdorff空間とし、U∈T,D⊂(C,S)とする時,
>  Chart(U,D)∋fはcompatible
> \xE2^G^T
> Chart(U,D)∋∃g; (i) dom(f)∩dom(g)≠φ,
>                (ii) fg^-1とgf^-1は夫々dom(fg^-1)とdom(gf^-1)で正則となる。

何を Chart と呼んでいるか分かっていますか.
 compatible とは何についての関係か分かっていますか.

> [定義] (X,T)をHausdorff空間とし、U∈T,D⊂(C,S)とし,
> A:={f∈Chart(U,D);fはcompatible}とする時,
> AはXのatlas. ⇔ ∀x∈Xに対して,x∈dom(f)なる∃f∈A.

「 f は compatible 」というのが意味を為さないことは分かっていますか.
 
> [定義] (X,T)をHausdorff空間とする時,
> XはAに於いてリーマン面をなす. ⇔  AはXのatlas.
> 
> がリーマン面の定義ですよね。

多分お分かりではないだろうと思います.

> でも
> http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E9%9D%A2
> の例にて
> 『・複素平面Cは最も基本的なリーマン面と言えよう。
>   …(中略)…座標近傍fとgは両立的ではないので、』
> となっていてf(恒等写像)とg(共役写像)とは非両立的なので
> Cがリーマン面であることを知りうる事が出来ません。

両立的になるような chart を集めたものが
 C にリーマン面の構造を与えます.
 
> 一体,複素平面Cで両立的であるfとgはどのように採れるのでしょうか?

 g(z) = z + c は f(z) = z と両立的です.

> その後,
> f(z)=z.g(z)=-z
> が一つの例かと思ったのですが

それも一つの例です.

> 早速,チェックして,上記fとgがcompatibleである事は分かり,
> (∵明らかにf,g∈Chart(C,C)でdom(f)∩dom(g)≠φでfg^-1はdom(fg^-1)=Cで
> C∋∀z→-z→-zという写像で明らかにC上で正則。
> gf^-1も同様にC上で正則。従ってfはgにcompatible)
> 
> A:={f∈Home(C,C);fはcompatible}≠φとなる事も分かりましたが
> (∵上記のfについてf∈Aとなる事が上記から分かった)
> 
> このAがatlasになる事,つまり∀x∈Cに対して必ず∃f∈A;x∈dom(f)
> となる事はどうして言えるのでしょうか?

もともと f(z) = z は C 全体の上で定義されていますから,
それ一つで Atlas になります.

> 勿論,f(z):=zとかf(z):=-zならdom(f)=Cなので
> ∀x∈Cに対して必ず∃f∈A;x∈dom(f)が成り立つのは明らかですが
> Aの元はこのような単純な同相写像とは限りませんよね?
> つまり,或るx∈Cについては∀f∈Aを採ってもx∈dom(f)とはならない場合も
> 有り得りますよね。

そのような Atlas は複素数平面 C の Atlas ではないというだけの話です.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp