工繊大の塚本です.

In article <iur0t8$cig$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <110627183319.M0209415@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > 一般にベキ級数 \sum_{n=0}^\infty a_n z^n は,
> > その収束半径を R > 0 とすると,
> > |z| < R において広義一様収束します.
> > 又, 項別微分のベキ級数 \sum_{n=1}^\infty n a_n z^{n-1} は
> 
> 項別微分のベキ級数は |z|<R において一様収束しないと存在しませんよね?

「項別微分のベキ級数」は何時でも作れます.
それが |z| < R で広義一様収束すれば,
元のベキ級数が微分可能な関数を表し,
導関数が「項別微分のベキ級数」の表す関数に一致する,
というのが定理です.
 
> > 元のベキ級数 \sum_{n=0}^\infty a_n z^n と同じ収束半径を持ち,

ということで, このことが示されれば,

> > 元のベキ級数は |z| < R において正則で,

が出てきます.

> > (d/dz)(\sum_{n=0}^\infty a_n z^n) = \sum_{n=1}^\infty n a_n z^{n-1}
> > となることも複素関数論の基礎知識です.
> 
> これも元のベキ級数が|z|<R において一様収束するならその通りですね。

広義一様収束であれば十分です.

> >  (d^3/dz^3)(z/(e^z - 1))
> >   = e^z(- 3 - z - 4 z e^z + 3 e^{2 z} - z e^{2 z})/(e^z - 1)^4
> > ですが, z = 0 では 0/0 の不定形になる筈ですから,
> 
> そうでした。確かに0/0になってしまいますね。
> 
> > z = 0 を代入するだけで微分が 0 が分かる筈がありません.
> 
> でもどうしても分母にはexp(z)-1の因数が出てきますよ。

ですから, z = 0 を代入するだけでは z = 0 での値は
分かりませんが, 予め導関数が z = 0 で連続であることが
分かっているので, \lim_{z \to 0} (d^3/dz^2)(z/(e^z-1)) を
計算すれば, z = 0 での値が分かります.

> > ですから, その計算は間違っています. ともあれ,
> > (d^3/dz^3)(z/(e^z - 1))|_{z=0} の計算は「教訓的」であろうと
> > 思いますので, 是非最後まで遣り抜いて下さい.

ま, ロピタルの定理を使うとか, o(z^4) までの近似式を
書くとかすれば, 計算できます.

> やはり,
> (d^5/dz^5)(z/(e^z - 1))|_{z=0}
> =-exp(z)[5+z+50exp(z)+26zexp(z)+66zexp(2z)+26zexp(3z)-50exp(3z)
>           +zexp(4z)-5exp(4z)]/(exp(z)-1)^6|_{z=0}=0/0
> となってしまいますが…

ですから, そういう計算では大変だと分かることが重要.

> > それはどうにもならないでしょう.
> 
> すると帰納法での証明は無理なのでしょうか?

貴方の遣り方では無理です.
 
> > f(z) = z/(\exp(z) - 1) が偶関数ですから
> > f(-z) = f(z) です.
> > (d/dz)(f(-z)) = (df/dz)(-z) \times (-1)
> 
> どうしてここの変形が出来るのでしょうか? 

合成関数の微分法です.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp