工繊大の塚本と申します.

In article <db7ae8ed-e981-4061-87a9-fa944c870c05@t16g2000vbi.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_3__00.jpg
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_3__01.jpg
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_3__02.jpg
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_3__03.jpg
> 
> という問題を
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/P090.JPG
> を参考に証明しております。
> 
> (3.7)式 sin(πx)/(πx)=Π_{n=1}^∞ (1-x^2/n^2)に 1/πd/dx ln()を施してたのですが
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_3__00.jpg
> のように
> 1/πcos(πx)/sin(πx)=1/π 1/dx lnΠ_{n=1}^∞(1-x^2/n^2)+1/(πx)
> から
> 1/πcos(πx)/sin(πx)=1/π 1/dx lnΠ_{n=1}^∞(1-x^2/n^2)
> に変形できるのでしょうか?

出来ません. 1/(\pi x) は残しておきましょう.
 
> それから
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_3__01.jpg
> のように
> 1/(2iπ) d/dx ln lim_{k→∞}Π_{n=1}^k(1-x^2/n^2)
> から
> 1/(2iπ) d/dx lim_{k→∞}lnΠ_{n=1}^k(1-x^2/n^2)
> という風にlnをlimの内側に入れれるのは何故なのでしょうか?

 \log は連続関数であるからです.

> あと
> 1/(2iπ) d/dx Σ_{n=1}^∞ ln(1-x^2/n^2)
> から
> 1/(2iπ) Σ_{n=1}^∞ d/dx ln(1-x^2/n^2)
> の変形はΣ_{n=1}^∞ d/dx ln(1-x^2/n^2)が|x|/n<1(?)で
> 一様収束するから項別微分できるのだと思いますが
> どのようにして|x|/n<1(?)で一様収束を示せますでしょうか?

そこに岩波講座『現代数学への入門』「複素関数入門」\S 5.3 (c) 参照
と書いてありますね. \S 5.3 (b) と併せて読むと,
任意の正数 R について, |x| \leq R で絶対収束するし,
一様収束でもあり, 正則な関数で, 対数微分に関する
項別微分の公式が成立することが分かります.

# 結局は Weierstrass の優級数判定法です.

途中の計算が間違っていて, 正しくは,

  - 2 i h_1(t)
  = (1/\pi) (d/dx)(\log \prod_{n=1}^\infty (1 - x^2/n^2) + 1/(\pi x)
  = (1/\pi) (1/x + \sum_{n=1}^\infty (1/(x+n) + 1/(x-n)))
  = (1/(2 \pi)) \sum_{n \in Z} (1/(x+n) + 1/(x-n))

です.

> 最後に
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_3__03.jpg
> についてですが最後から3行目の式を
> h_1(t)=(r-1)!(-1/(2πi))^r Σ_{n∈Z}1/(x+n)^r
> とどうして変形できるのでしょうか

左辺は h_r(t) ですね. h_r(t) は元々
 (t (d/dt))^{r-1} (h_1(t)) で定義されていたのですから,
 t (d/dt) = \exp(2 \pi i x) (dt/dx)^{-1} (d/dx)
 = (1/(2 \pi i)) (d/dx) に注意すれば,
 
  h_r(t) = (t (d/dt))^{r-1} (h_1(t))
  = (1/(2 \pi i))^{r-1} (-1/(2 i)) (1/(2 \pi))
    \times (d/dx)^{r-1} \sum_{n \in Z} (1/(x+n) + 1/(x-n))
  = (-1/2) (1/(2 \pi i))^r (r-1)! (-1)^{r-1}
    \times \sum_{n \in Z} (1/(x+n)^r + 1/(x-n)^r)

となります. r \geq 2 であれば,
 \sum_{n \in Z} 1/(x + n)^r = \sum_{n \in Z} 1/(x - n)^r
はそれぞれ収束して等しいわけですから,

  = (r-1)! (-1/(2 \pi i))^r \sum_{n \in Z} 1/(x + n)^r

とすることができます.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp