工繊大の塚本です.

In article <62f74785-6fb2-4289-abfb-ffaefcea9087@a5g2000vbs.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/Lemma1_1_vi_36.jpg

一番最後の所は,
 \sum_{d=1}^\infty |d^{\alpha+\beta-2s} \phi_s(d)| も 
 \sum_{f'=1}^\infty |f'^{\alpha-s}| も 
 \sum_{g'=1}^\infty |g'^{\beta-s}| も 
収束して有限であるから

 \sum_{d=1}^\infty |d^{\alpha+\beta-2s} \phi_s(d)| \times
 \sum_{f'=1}^\infty |f'^{\alpha-s}| \times
 \sum_{g'=1}^\infty |g'^{\beta-s}|

は, 従って,

 \sum_{d=1}^\infty \sum_{f'=1}^\infty \sum_{g'=1}^\infty
   |d^{\alpha+\beta-2s} \phi_s(d)| |f'^{\alpha-s}| |g'^{\beta-s}|

は収束して有限ということの主張でしょうが,

 = \sum_{d=1}^\infty |d^{\alpha+\beta-2s} \phi_s(d)| \in R

と書くのは, 等号では結べないものですから, 間違いです.

因みに, 収束して「有限である」ということを表すのに
" \in R" と書くのは間違ってはいませんが,
気分としては, " < +\infty" とするものだろうと思います.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/Lemma1_1_vi_37.jpg
> はとりあえず宜しいでしょうか?

 \log p を付けて修正して下さい. それから,

 \sum_{d=1}^\infty \prod_{p: prime, p|d}
   p^{e(d, p) Re(\alpha+\beta-s)} (1 + p^{-Re(s)})

は 

 = \prod_{p: prime, p|d} (1 + (1 + p^{-Re(s)})) \times
                         \sum_{e=1}^\infty p^{e Re(\alpha+\beta-s)}

ではなく,

 = \prod_{p: prime, p|d} (1 + (1 + p^{-Re(s)}) \times
                              \sum_{e=1}^\infty p^{e Re(\alpha+\beta-s)})

であることも, 既に何度も注意しました.
次の行の最初の式も駄目です.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/Lemma1_1_vi_37.jpg
> なら宜しいでしょうか?

だから駄目です.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/Lemma1_1_vi_38.jpg
> でいいのですね。

はい.

> In article <110227195457.M0118907@ras2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > 空の添え字集合の族に対する積は 1 とする約束です.
> 
> えっ空の添字とは??? 詳しくご教示ください。

空の「添え字集合」です.

 \sum_{d=1}^\infty d^{\alpha+\beta-s} \times
                   \prod_{p: prime, p|d} (1 - p^{-s})

で足し合わされている各項は, d^{\alpha+\beta-s} に
 d を割り切る素数 p の全体を添え字集合としての
 (1 - p^{-s}) らの積を掛けたものですが,
 d = 1 の時には, 1 を割り切る素数はありませんから,
 d を割り切る素数 p の全体の集合は空集合になります.
そういうときの (1 - p^{-s}) らの積は 1 と定義する約束です.

  \prod_{p: prime, p|1} (1 - p^{-s}) = 1

です.

> なるほど,
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/Lemma1_1_vi_39.jpg
> でいいのですね。

 \prod_{p: prime} を \prod_{i=1}^\infty で p_i を使って書き直し,
又元に戻すことに何の意味があるのか分かりませんが, 良いでしょう.

> > 駄目です.
> > ((p_1)^{0 s} + (p_1)^{1 s} + (p_1)^{2 s} + \cdots + (p_1)^{e_1 s})\times
> > ((p_2)^{0 s} + (p_2)^{1 s} + (p_2)^{2 s} + \cdots + (p_2)^{e_2 s})\times
> > \cdots \times
> > ((p_r)^{0 s} + (p_r)^{1 s} + (p_r)^{2 s} + \cdots + (p_r)^{e_r s})\times
> > (\prod_{p_i, f_i > 0} (1 - (p_i)^{-s}))
> > ではありません. そもそもこの式の最後の
> > (\prod_{p_i, f_i > 0} (1 - (p_i)^{-s}))
> > には意味がない.
> 
> (\prod_{p_i, f_i > 0} (1 - (p_i)^{-s}))に意味が無いとはどういう意味でしょうか?

 ((p_1)^{0 s} + (p_1)^{1 s} + (p_1)^{2 s} + \cdots + (p_1)^{e_1 s})\times
 ((p_2)^{0 s} + (p_2)^{1 s} + (p_2)^{2 s} + \cdots + (p_2)^{e_2 s})\times
 \cdots \times
 ((p_r)^{0 s} + (p_r)^{1 s} + (p_r)^{2 s} + \cdots + (p_r)^{e_r s})\times

を展開した時に出て来る一つの項, 例えば,

 (p_1)^{2 s} (p_2)^{0 s} (p_3)^{e_3 s} \cdots (p_r)^{1 s}

とかに対して,

 f_1 = 2, f_2 = 0, f_3 = e_3, \dots, f_r = p_r

と定まって,

 \prod_{p_i, f_i> 0} (1 - (p_i)^{-s})
  = (1 - (p_1)^{-s}) (1 - (p_3)^{-s}) \cdots (1 - (p_r)^{-s})

等と f_i > 0 となる p_i についての積が決まるわけですから
(上の例では f_2 = 0 だから p_2 を含む項 (1 - (p_2)^{-s}) が入っていない),
それらの項の和である次の積

 ((p_1)^{0 s} + (p_1)^{1 s} + (p_1)^{2 s} + \cdots + (p_1)^{e_1 s})\times
 ((p_2)^{0 s} + (p_2)^{1 s} + (p_2)^{2 s} + \cdots + (p_2)^{e_2 s})\times
 \cdots \times
 ((p_r)^{0 s} + (p_r)^{1 s} + (p_r)^{2 s} + \cdots + (p_r)^{e_r s})\times

全体に掛けることが出来る何かがあるわけではない.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/Lemma1_1_vi_prime_08.JPG
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/Lemma1_1_vi_prime_09.JPG
> となったのですが一箇所??になってしまいました。
> どこを間違ってますでしょうか?

最初の変形から全く駄目です.

 = ((p_1)^0 + (p_2)^0 + \cdots + (p_r)^0)\times
   ((p_1)^1 + (p_2)^1 + \cdots + (p_r)^1)\times
   \cdots\times
   ((p_1)^{e_1} + (p_2)^{e_2} + \cdots + (p_r)^{e_r})\times
   \prod_{ p \in {p_1, p_2, \ldots, p_r}, p|d } (1 - p^{-s})

という式がどれほど意味のないものであるか,
 n = 12 だとどうなるかを書いてみると良く分かるでしょう.
勿論, 意味を付けても, 等号は成立しません.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp